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中日の科学技術交流に尽力 JST沖村憲樹特別顧問
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-05-11 13:45:13 | 新華社 | 編集: 郭丹

  【新華社東京5月11日】78歳になる沖村憲樹氏は今も中日科学技術交流の第一線で活躍している。科学技術振興機構(JST)の特別顧問・前理事長である沖村氏は、「さくらサイエンスプラン」を創設し、中国などアジア太平洋の国・地域から毎年数千人の青少年を日本での見学・交流に招待しており、これは中日両国の科学技術と人材交流の重要な舞台となっている。

  中日科学技術交流協力の推進への貢献によって、2015年度の中国国際科学技術協力賞を受賞した沖村氏は、このほど東京で行われた新華社によるインタビューに応じ、「中国政府に深く感謝するとともに、日中交流のため共に努力して下さった皆様に感謝している」と述べ、「これからも変わらずに日中科学技術交流を推進し、さくらサイエンスプランの事業を広げていきたい」と抱負を語った。

  沖村氏は長く科学技術庁に勤務し、中日両国の科学技術界の交流協力の推進に尽くした。JST理事長在職期間中も「中国総合研究センター」の設立や「日中大学フェア&フォーラム」の発起と組織など、中日科学技術協力の推進を目的とするいくつもの重要な仕事を行ってきた。

  沖村氏は一貫して中国の科学技術の発展や科学技術政策に強い関心を寄せている。中国の科学研究計画の長期安定性を「中国政府は長年にわたって科学技術の発展を重視しており、関連予算も日本をはるかに上回っている。安定した資金が科学技術と経済の持続的な発展を保障している」と賞賛する一方で、「中国と日本はともに世界の主要な経済大国であるにもかかわらず、ここ数年の両国の科学研究交流は活発とは言い難い」とも指摘した。

  文部科学省の統計データによると、2003年から2005年にかけて中国の発表された国際共著論文のうち、16%の論文に日本の研究者が参加しており、この比率は米国の37%に次ぐ2位だった。ところが2013年から2015年にかけてこの比率は8%まで下がり、4位に後退した。

  この現状を変えるべく、2014年に沖村氏が推進する「さくらサイエンスプラン」がスタートした。この国際科学技術交流プロジェクトはJSTが全額を出資して、中国を中心にアジアの優秀な青少年(高校生、大学生、研究者などを含む)を日本に招待するもので、学校や科学研究機関や企業への短期訪問の他、日本の青少年やノーベル賞受賞者などとの直接交流も実施している。

  2014年には約1200人の中国の青少年が「さくらサイエンスプラン」で来日し、交流を行った。2016年と2017年には年間の交流人数が約2千人に増加し、プロジェクト全体人数の約3分の1を占めるまでになった。

  日本の人口は中国の約10分の1であり、長い目で見れば中国のトータルパワーも日本の10倍になるかもしれないと沖村氏は言う。だからこそ日本は実際的な観点から、自国の強みを発揮し、中国との協力でウィンウィンの関係を実現すべきであり、さらにそのプロセスを通じて中国と科学技術などの分野で協力関係を強化することが非常に重要なのだとの考えだ。

  中国の科学技術の進歩は著しいものの、日本も多くの分野でまだ優位を保っている。中国の青少年に日本の科学技術を知ってもらい、両国の未来の科学技術者同士の交流協力を推進することは、日本に大きな利益をもたらすだろうと沖村氏は見ている。

  「中国やアジア各国の経済が発展するにつれて、日本の存在感は相対的に低下していくだろう。日本は中国などアジアの国々と手を携え、ウィンウィンの関係を築かなくてはならない」。それには人と人との交流が最も有効で、人間同士の絆があれば、例え国と国との間でいさかいが起きてもそれを緩和することができるという。

  そして、それこそが両国の青少年の科学技術交流を全力で推進している理由であるという沖村氏は、「交流を通じて両国の学生や研究者の相互理解が進み、よい関係を築ければ、将来的に両国の科学技術協力がより進んでいく展望が開けるだろう」と話している。(記者/華義)

 

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中日の科学技術交流に尽力 JST沖村憲樹特別顧問

新華網日本語 2018-05-11 13:45:13

  【新華社東京5月11日】78歳になる沖村憲樹氏は今も中日科学技術交流の第一線で活躍している。科学技術振興機構(JST)の特別顧問・前理事長である沖村氏は、「さくらサイエンスプラン」を創設し、中国などアジア太平洋の国・地域から毎年数千人の青少年を日本での見学・交流に招待しており、これは中日両国の科学技術と人材交流の重要な舞台となっている。

  中日科学技術交流協力の推進への貢献によって、2015年度の中国国際科学技術協力賞を受賞した沖村氏は、このほど東京で行われた新華社によるインタビューに応じ、「中国政府に深く感謝するとともに、日中交流のため共に努力して下さった皆様に感謝している」と述べ、「これからも変わらずに日中科学技術交流を推進し、さくらサイエンスプランの事業を広げていきたい」と抱負を語った。

  沖村氏は長く科学技術庁に勤務し、中日両国の科学技術界の交流協力の推進に尽くした。JST理事長在職期間中も「中国総合研究センター」の設立や「日中大学フェア&フォーラム」の発起と組織など、中日科学技術協力の推進を目的とするいくつもの重要な仕事を行ってきた。

  沖村氏は一貫して中国の科学技術の発展や科学技術政策に強い関心を寄せている。中国の科学研究計画の長期安定性を「中国政府は長年にわたって科学技術の発展を重視しており、関連予算も日本をはるかに上回っている。安定した資金が科学技術と経済の持続的な発展を保障している」と賞賛する一方で、「中国と日本はともに世界の主要な経済大国であるにもかかわらず、ここ数年の両国の科学研究交流は活発とは言い難い」とも指摘した。

  文部科学省の統計データによると、2003年から2005年にかけて中国の発表された国際共著論文のうち、16%の論文に日本の研究者が参加しており、この比率は米国の37%に次ぐ2位だった。ところが2013年から2015年にかけてこの比率は8%まで下がり、4位に後退した。

  この現状を変えるべく、2014年に沖村氏が推進する「さくらサイエンスプラン」がスタートした。この国際科学技術交流プロジェクトはJSTが全額を出資して、中国を中心にアジアの優秀な青少年(高校生、大学生、研究者などを含む)を日本に招待するもので、学校や科学研究機関や企業への短期訪問の他、日本の青少年やノーベル賞受賞者などとの直接交流も実施している。

  2014年には約1200人の中国の青少年が「さくらサイエンスプラン」で来日し、交流を行った。2016年と2017年には年間の交流人数が約2千人に増加し、プロジェクト全体人数の約3分の1を占めるまでになった。

  日本の人口は中国の約10分の1であり、長い目で見れば中国のトータルパワーも日本の10倍になるかもしれないと沖村氏は言う。だからこそ日本は実際的な観点から、自国の強みを発揮し、中国との協力でウィンウィンの関係を実現すべきであり、さらにそのプロセスを通じて中国と科学技術などの分野で協力関係を強化することが非常に重要なのだとの考えだ。

  中国の科学技術の進歩は著しいものの、日本も多くの分野でまだ優位を保っている。中国の青少年に日本の科学技術を知ってもらい、両国の未来の科学技術者同士の交流協力を推進することは、日本に大きな利益をもたらすだろうと沖村氏は見ている。

  「中国やアジア各国の経済が発展するにつれて、日本の存在感は相対的に低下していくだろう。日本は中国などアジアの国々と手を携え、ウィンウィンの関係を築かなくてはならない」。それには人と人との交流が最も有効で、人間同士の絆があれば、例え国と国との間でいさかいが起きてもそれを緩和することができるという。

  そして、それこそが両国の青少年の科学技術交流を全力で推進している理由であるという沖村氏は、「交流を通じて両国の学生や研究者の相互理解が進み、よい関係を築ければ、将来的に両国の科学技術協力がより進んでいく展望が開けるだろう」と話している。(記者/華義)

 

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