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フィリピン共和国が一方的に提起した南中国海仲裁案に関する中国海洋法学会の声明
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2016-05-31 15:32:17 | 新華網 | 編集: 吴寒冰

 新華網北京5月31日 2013年1月22日、フィリピンは『国連海洋法条約』(以下、『条約』という)付属書七の規定を引用し、強制的な仲裁手続きを提起した。2015年10月29日、仲裁裁判所は同案件の管轄権問題について裁決を下し、同裁判所がフィリピンの提示した7項目の仲裁事項に管轄権を有し、その他の8項目の仲裁事項を保留し、案件の実体段階で審理を行うと裁定した。海洋法分野の全国的な学術団体として、中国海洋法学会は仲裁裁判所が仲裁を執拗に推進し、裁决を下したことに深く驚愕し、同裁決の国際海洋法治に及ぼし得るネガティブな影響を懸念している。これを受けて、誤った見解を是正するために、我々は以下の声明を発表する。

一、仲裁裁判所は基本的事実を無視し、フィリピンが提供した証拠を一方的に採用

 仲裁裁判所はフィリピンが中国の領土主権を侵害したことにより、中国とフィリピンのその他の海上紛争を引き起こした客観的な背景を無視し、フィリピンの訴求は主権争いに属しないと誤って判定した。仲裁裁判所は中国が歴史上、一貫して南沙群島全体の主権と海洋権利を主張してきた基本的事実を無視し、固執にフィリピンが選定した個別の島礁に法律的地位と海洋権利の判定を行った。仲裁裁判所はフィリピンが中国とフィリピンの協議によって海洋紛争を解決する共通認識に背いた真実の状況を無視し、自身の管轄権限と範囲を独断で拡大している。仲裁裁判所は審査を行うことなく、即ちフィリピンの一方的な見解と提示した証拠を採用し、関係事実を調査する義務を果たしておらず、事実認定に重大な欠陥が存在する。これを基盤に下された最終裁決は説得力がなく、裁決の公正性と有効性を保証できない。

二、仲裁裁判所の解釈と適用法律に著しい誤りがあり、『条約』の権威性と統一性を損なった。

  第一に、フィリピンの訴求は本質的に領土主権事項であり、仲裁裁判所の管轄の越権行為は国際法に違反する。フィリピンの提出した訴求は、又は領土主権を前提とする、又は領土主権に対し重大な影響を及ぼすことは、本質的に領土主権争いになる。『条約』の調整事項に属さず、強制仲裁手続きの適用範囲にも属さず、仲裁裁判所は管轄する権利がない。

  次に、フィリピンの訴求は中国の2006年の声明で排除された事項に属し、仲裁裁判所は処理を行う権利がない。中国は『条約』第298条に照らして、強制手続きの「海域境界画定と関係する紛争」を含む事項を排除した。しかし、仲裁裁判所は「海域境界画定と関係する紛争」を「海洋境界画定そのものの紛争」と解釈し、この排他的事項の範囲を大幅に縮小させ、第298条の通常の定義に違反し、『条約』の約款を誤って解釈した。概念をすり替えて中国の排他的声明を回避する方法は、『条約』の強制的紛争解決手続きの制度設計と立法の本意に背き、『条約』が確立した紛争解決メカニズムの全体性と安定性を破壊し、『条約』を基盤に形成した国際海洋法律秩序に甚だしく抵触する。 

三、仲裁裁判所は当事国の双方が海洋境界画定をめぐる紛争を協議で解決する権利をはく奪する

 『条約』の海洋境界画定に関する第15、74、83条は当事国が協議して関係境界を画定する優位性を強調し、当事国が独自に交渉し、協議を行って最終的に紛争を解決する自主権を付与している。 関係国が独自に紛争を解決できず、且つ第三者メカニズムを排除できない状況になってはじめて、強制的な紛争解決手続きに訴えることができる。

 海洋境界画定は一つの全体的で体系的な工程で、関係島礁の法律的地位と海洋権利の確定は、海洋境界画定において分割できない内在する構成部分になる。仲裁裁判所は中国の排他的な声明を無視し、意地を張って、中国とフィリピンが境界画定交渉を展開する前に、中国とフィリピンの海洋境界画定において関係島礁の土と物の法律的地位問題を処理することは、中国とフィリピンの海洋境界画定における紛争の解決に直接、干渉する。これは事実上、当事国の交渉と協議で合意する権利をはく奪するものだ。

 上に述べたことをまとめると、仲裁裁判所による管轄権問題に関する裁決には明らかな誤りが存在し、法的効力を備えていない。事実認定の面では、仲裁裁判所は周到かつ慎重に事実を究明する義務を十分に全うしていなかった。法律の解釈・適用の面では、仲裁裁判所は島・礁の海洋権利と領土主権と海洋の境界線間の内在的連係を強引に切り裂いた。越権管轄が本質的には島・礁の領土主権や海洋境界に属するという事項では、中国が行った排除性声明を悪意的に回避し、管轄権限を身勝手に拡大させた。仲裁裁判所による軽率で独断的なやり方は「条約」の解釈と適用に関する紛争を解決するのではなく、「条約」の完全性と権威性を破壊した。中国海洋法学会は中国政府が上述の国際法に違反する不公正で不合理的な裁決を受け入れず、認めないことにより、中国の主権や領土保全、海洋権益を守ることを支持する。 

 

(新華社より)

 

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新華網日本語

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新華網日本語 2016-05-31 15:32:17

 新華網北京5月31日 2013年1月22日、フィリピンは『国連海洋法条約』(以下、『条約』という)付属書七の規定を引用し、強制的な仲裁手続きを提起した。2015年10月29日、仲裁裁判所は同案件の管轄権問題について裁決を下し、同裁判所がフィリピンの提示した7項目の仲裁事項に管轄権を有し、その他の8項目の仲裁事項を保留し、案件の実体段階で審理を行うと裁定した。海洋法分野の全国的な学術団体として、中国海洋法学会は仲裁裁判所が仲裁を執拗に推進し、裁决を下したことに深く驚愕し、同裁決の国際海洋法治に及ぼし得るネガティブな影響を懸念している。これを受けて、誤った見解を是正するために、我々は以下の声明を発表する。

一、仲裁裁判所は基本的事実を無視し、フィリピンが提供した証拠を一方的に採用

 仲裁裁判所はフィリピンが中国の領土主権を侵害したことにより、中国とフィリピンのその他の海上紛争を引き起こした客観的な背景を無視し、フィリピンの訴求は主権争いに属しないと誤って判定した。仲裁裁判所は中国が歴史上、一貫して南沙群島全体の主権と海洋権利を主張してきた基本的事実を無視し、固執にフィリピンが選定した個別の島礁に法律的地位と海洋権利の判定を行った。仲裁裁判所はフィリピンが中国とフィリピンの協議によって海洋紛争を解決する共通認識に背いた真実の状況を無視し、自身の管轄権限と範囲を独断で拡大している。仲裁裁判所は審査を行うことなく、即ちフィリピンの一方的な見解と提示した証拠を採用し、関係事実を調査する義務を果たしておらず、事実認定に重大な欠陥が存在する。これを基盤に下された最終裁決は説得力がなく、裁決の公正性と有効性を保証できない。

二、仲裁裁判所の解釈と適用法律に著しい誤りがあり、『条約』の権威性と統一性を損なった。

  第一に、フィリピンの訴求は本質的に領土主権事項であり、仲裁裁判所の管轄の越権行為は国際法に違反する。フィリピンの提出した訴求は、又は領土主権を前提とする、又は領土主権に対し重大な影響を及ぼすことは、本質的に領土主権争いになる。『条約』の調整事項に属さず、強制仲裁手続きの適用範囲にも属さず、仲裁裁判所は管轄する権利がない。

  次に、フィリピンの訴求は中国の2006年の声明で排除された事項に属し、仲裁裁判所は処理を行う権利がない。中国は『条約』第298条に照らして、強制手続きの「海域境界画定と関係する紛争」を含む事項を排除した。しかし、仲裁裁判所は「海域境界画定と関係する紛争」を「海洋境界画定そのものの紛争」と解釈し、この排他的事項の範囲を大幅に縮小させ、第298条の通常の定義に違反し、『条約』の約款を誤って解釈した。概念をすり替えて中国の排他的声明を回避する方法は、『条約』の強制的紛争解決手続きの制度設計と立法の本意に背き、『条約』が確立した紛争解決メカニズムの全体性と安定性を破壊し、『条約』を基盤に形成した国際海洋法律秩序に甚だしく抵触する。 

三、仲裁裁判所は当事国の双方が海洋境界画定をめぐる紛争を協議で解決する権利をはく奪する

 『条約』の海洋境界画定に関する第15、74、83条は当事国が協議して関係境界を画定する優位性を強調し、当事国が独自に交渉し、協議を行って最終的に紛争を解決する自主権を付与している。 関係国が独自に紛争を解決できず、且つ第三者メカニズムを排除できない状況になってはじめて、強制的な紛争解決手続きに訴えることができる。

 海洋境界画定は一つの全体的で体系的な工程で、関係島礁の法律的地位と海洋権利の確定は、海洋境界画定において分割できない内在する構成部分になる。仲裁裁判所は中国の排他的な声明を無視し、意地を張って、中国とフィリピンが境界画定交渉を展開する前に、中国とフィリピンの海洋境界画定において関係島礁の土と物の法律的地位問題を処理することは、中国とフィリピンの海洋境界画定における紛争の解決に直接、干渉する。これは事実上、当事国の交渉と協議で合意する権利をはく奪するものだ。

 上に述べたことをまとめると、仲裁裁判所による管轄権問題に関する裁決には明らかな誤りが存在し、法的効力を備えていない。事実認定の面では、仲裁裁判所は周到かつ慎重に事実を究明する義務を十分に全うしていなかった。法律の解釈・適用の面では、仲裁裁判所は島・礁の海洋権利と領土主権と海洋の境界線間の内在的連係を強引に切り裂いた。越権管轄が本質的には島・礁の領土主権や海洋境界に属するという事項では、中国が行った排除性声明を悪意的に回避し、管轄権限を身勝手に拡大させた。仲裁裁判所による軽率で独断的なやり方は「条約」の解釈と適用に関する紛争を解決するのではなく、「条約」の完全性と権威性を破壊した。中国海洋法学会は中国政府が上述の国際法に違反する不公正で不合理的な裁決を受け入れず、認めないことにより、中国の主権や領土保全、海洋権益を守ることを支持する。 

 

(新華社より)

 

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