新華網ハーグ5月25日 (記者/劉芳)オランダのユトレヒト大学法学部のトム・ウィズダム教授はこのほど、新華社記者の取材を受けた際に、南中国海の紛争を国際司法、又は仲裁を通じて解決することは不適切で、フィリピンが一方的に提起した南中国海の仲裁は手を引くべきで、交渉による紛争解決が優先されるべきだと指摘した。
ウィズダム教授はユトレヒト大学法学部の学長を務め、2007年から現在までオランダ人権研究所所長に就任し、人権問題、裁判及び公法の比較研究に取り組んできた。ウィズダム教授は中国人留学生の孫瑞昆さんとともにユトレヒト大学の文化と人権フォラームサイトに署名入りの論文を掲載し、「国際司法機関はその合法性を維持し、中立で客観的な法律原則を技術的に事実に適用させる必要がある。司法解決が適さない紛争について、裁判所は裁決を下すことを回避しなければならない。南中国海の紛争はまさにこのような案例と言える。」と指摘した。
論文は次のように記述されている。『国連海洋法条約』に基づき設立された仲裁裁判所は、紛争の小さな部分を処理できるだけで、海域の境界画定、主権などの重要な問題に対処できないと記述されている。これは仲裁裁判所の関係実体問題の裁決は、せいぜい一部の利害関係者の一部の問題を処理できるだけで、その他の影響を及ぼす各国と紛争事項に関連できないことを表している。
ウィズダム教授は記者に次のように説明した。「ある種の紛争は、元々裁判、又は仲裁で解決できない。私は仲裁裁判所の裁決は『当裁判所でこの案件の裁決を下すことができない。各関係国は最大の努力を払い、協議を通じて解決して下さい。』」であるべきだと判断する。
南中国海の地縁政治の重要性について、ウィズダム教授は論文で次のように指摘した。世界の半数の貿易貨物が必ず通過する南中国海の地縁政治の重要性は言うまでもなく明らかだ。まさにこの理由から、南中国海の紛争は司法機関ではなく、政治ルートを通じて解決すべきだ。ウィズダム教授はまた、記者に次のように告げた。「たとえ最も複雑な政治問題でも、裁判で裁決を下すことができると考える弁護士もいる。しかし、フランスの裁判所は外国政府に関係する案件に直接、裁決を出すことはない。英国の裁判所は外交を含む高度な政策に関する案件に裁決を出さない。米国司法は大統領の戦争と平和に関する問題の決定に介入しない。私は仲裁裁判所はこの方法に沿ってこそ賢明な策だと考える。仲裁裁判所はこの案件から手を引くことを提案する。」
(新華社より)
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