【新華社ウルムチ7月4日】多国籍企業の地域営業責任者から中国新疆ウイグル自治区タリム盆地の農民へと「転職」した江林さんは、中国農業の節水テクノロジーの飛躍を映し出している。
彼は現在、タリム盆地の西端に位置する温宿県で300ムー(約20ヘクタール)余りのクルミ農園を持つ果樹農家だ。10年前、彼は点滴灌漑設備の多国籍企業で新疆地域の責任者をしていた。地域の至る所に営業に出向いて交渉したり、現場で節水設備の取り付けや調整を行ったりと、仕事に追われていた。
新疆の砂漠地帯は中国でも最も乾燥したエリアの一つである。1990年代、水資源の欠如に悩まされ、節水農業の発展を急いでいた石河子市は、自治区の農業科技専門家に助けを求めた。地元のプラスチック生産企業、新疆天業集団はビジネスチャンスを感じ取り、海外から先進的な生産設備を導入し、当時早急に必要だった点滴灌漑パイプなどの節水製品を試験的に生産し、改造やイノベーションを行った。
かつて、農業節水技術の研究開発に参加した新疆農業開拓科学院の尹飛虎研究員は、農家が使用でき、信頼に足る品質の節水灌漑器材を生産することは、中国企業と科学者たちの目標であると語った。
点滴灌漑設備が国産化されてから、イニシャルコストは1ヘクタール当たり5千元(1元=約17円)ほどにまで下がったという。さらに節水設備生産の国産化が実現してから、製品の順応性は海外の同種製品より優れたものとなった。新疆は東西に10度以上の緯度にまたがる広さだ。独自知的財産権を有する節水技術や設備は、厳しい気候や地理的条件の試験を経て、急速に国内市場で受け入れられるようになっている。 現在、「膜下の点滴灌漑」技術を代表に、進んだ節水農業技術がほとんどの農民にマスターされ、綿花、小麦、トウモロコシなどの農産物と林業・果樹に広く応用されている。
2017年の末までに、自治区では5200万ムー(約3万4667平方キロ)を上回る耕地で効率の良い節水が実現し、農業の生産方式や経営方法の変革を促している。2005年から、新疆の節水灌漑技術は中国から世界に向けて進出し、南アフリカやアンゴラ、タジキスタンなど17の国に広まっている。
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