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日本人学者、米の巨額貿易赤字は自国の経済構造に起因
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-07-09 09:25:52 | 新華社 | 編集: 郭丹

 【新華社北京7月9日】中国対外経済貿易大学の日本人教授、西村友作氏はこのほど、新華ネットの取材に対し、最近の米国と多くの国との貿易摩擦について「米国の巨額な貿易赤字は同国の経済構造に起因している。開かれた自由貿易政策こそが人心の赴くところ」と述べた。

 ▽米国の巨額貿易赤字は自国の経済構造に起因

  長年にわたり中米間の経済貿易研究を行う西村氏は、米国の経済構造がバランスを欠いていることが貿易赤字国となった根本的な要因であり、他国との貿易不均衡に目を向けるのではなく、自国の状況を改めて見直すべきとの認識を示した。西村氏によると米国は(1)国内総生産(GDP)の70%を消費、サービス業が占めており、製造業がGDPに占める割合は非常に低い(2)労働者の給与待遇が高いため製造業の生産コストが非常に高く、同国製造業の世界での競争力が弱めている(3)製造業の自助努力が不足している-という。西村氏は自動車産業を例に取り、米国は日本が右ハンドルであることを知りながら自国車を左ハンドルのまま輸出していることに触れ、結果として米国車は日本市場から淘汰されてしまったと語る。2016年に米フォードが日本市場から撤退したことがそれを物語っているという。

 西村氏はまた、ドルは現在、堅調で値上がり傾向にあり、米国の輸出にとって客観的なマイナス要因となっていることを指摘。これらの要因が重なり合うことで、米国の輸出は減少し、各国との貿易で巨額の輸入超過を生み出していると述べた。

 ▽自由貿易政策こそ世界の人心の赴くところ

 西村氏は、1960年代~90年代の日米貿易摩擦を振り返り、当時の米国は経済的に台頭し始めた日本に圧力を加え続けることで日米の「貿易摩擦」を「経済摩擦」へと発展させ、日本に一連の経済政策を受け入れさせたと語る。西村氏は、米国が1986年9月に両国が合意した「日米半導体協定」で、当時世界の半導体市場の8割を占めていた日本製ハイテク製品を抑えつけ、同時に、日本に内需拡大や公共投資拡大、金融自由化、独占禁止法の強化等を迫ったことを例にあげる。

 特に1980年代後半になると、日米「貿易摩擦」は「通貨摩擦」へと激化し、1985年9月には米国主導による米、日、英、仏、独の先進5カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G5)が、ドル高是正のため5カ国が協調介入する「プラザ合意」を決定。これらの国は自国通貨をドルに対し10~12%切り上げ、円もこれを契機に急速な円高へと進んだ。

 西村氏によると「プラザ合意」は日本経済発展史における「毒薬」であり、日銀が同時に行った金融緩和策の刺激が加わったことで、日本は不動産市場と株式市場で急激なバブル経済となり、バブル崩壊後、日本は長期に渡る経済疲弊と不景気に見舞われることになったという。西村氏は、米国は現在、依然として強気であり、多くの国に対して再び経済貿易摩擦を挑発しているが、関係各国は貿易摩擦が貿易戦争、通貨戦争へエスカレートすることを回避する努力が必要との見解を示した。

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の第5回中間閣僚会合が6月30日~7月1日に東京で行われ、ASEAN10カ国や中国、オーストラリア、インド、日本、韓国、ニュージーランドなど16カ国の経済貿易閣僚が会議に出席した。各国閣僚は、共同で努力し、問題を乗り越え、互恵的な地域一体化の経済連携協定の合意を目指す意向を改めて示した。

 西村氏は、自由貿易を望む国々は経済パートナー協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を積極的に推進し、自由貿易政策こそが人心の赴くところということを行動で示していると語り、米国は「多国間の自由貿易協定こそが自国に利益をもたらす」ことを改めて認識する必要があるとの見解を示した。(記者/郭丹)

 

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日本人学者、米の巨額貿易赤字は自国の経済構造に起因

新華網日本語 2018-07-09 09:25:52

 【新華社北京7月9日】中国対外経済貿易大学の日本人教授、西村友作氏はこのほど、新華ネットの取材に対し、最近の米国と多くの国との貿易摩擦について「米国の巨額な貿易赤字は同国の経済構造に起因している。開かれた自由貿易政策こそが人心の赴くところ」と述べた。

 ▽米国の巨額貿易赤字は自国の経済構造に起因

  長年にわたり中米間の経済貿易研究を行う西村氏は、米国の経済構造がバランスを欠いていることが貿易赤字国となった根本的な要因であり、他国との貿易不均衡に目を向けるのではなく、自国の状況を改めて見直すべきとの認識を示した。西村氏によると米国は(1)国内総生産(GDP)の70%を消費、サービス業が占めており、製造業がGDPに占める割合は非常に低い(2)労働者の給与待遇が高いため製造業の生産コストが非常に高く、同国製造業の世界での競争力が弱めている(3)製造業の自助努力が不足している-という。西村氏は自動車産業を例に取り、米国は日本が右ハンドルであることを知りながら自国車を左ハンドルのまま輸出していることに触れ、結果として米国車は日本市場から淘汰されてしまったと語る。2016年に米フォードが日本市場から撤退したことがそれを物語っているという。

 西村氏はまた、ドルは現在、堅調で値上がり傾向にあり、米国の輸出にとって客観的なマイナス要因となっていることを指摘。これらの要因が重なり合うことで、米国の輸出は減少し、各国との貿易で巨額の輸入超過を生み出していると述べた。

 ▽自由貿易政策こそ世界の人心の赴くところ

 西村氏は、1960年代~90年代の日米貿易摩擦を振り返り、当時の米国は経済的に台頭し始めた日本に圧力を加え続けることで日米の「貿易摩擦」を「経済摩擦」へと発展させ、日本に一連の経済政策を受け入れさせたと語る。西村氏は、米国が1986年9月に両国が合意した「日米半導体協定」で、当時世界の半導体市場の8割を占めていた日本製ハイテク製品を抑えつけ、同時に、日本に内需拡大や公共投資拡大、金融自由化、独占禁止法の強化等を迫ったことを例にあげる。

 特に1980年代後半になると、日米「貿易摩擦」は「通貨摩擦」へと激化し、1985年9月には米国主導による米、日、英、仏、独の先進5カ国財務大臣・中央銀行総裁会議(G5)が、ドル高是正のため5カ国が協調介入する「プラザ合意」を決定。これらの国は自国通貨をドルに対し10~12%切り上げ、円もこれを契機に急速な円高へと進んだ。

 西村氏によると「プラザ合意」は日本経済発展史における「毒薬」であり、日銀が同時に行った金融緩和策の刺激が加わったことで、日本は不動産市場と株式市場で急激なバブル経済となり、バブル崩壊後、日本は長期に渡る経済疲弊と不景気に見舞われることになったという。西村氏は、米国は現在、依然として強気であり、多くの国に対して再び経済貿易摩擦を挑発しているが、関係各国は貿易摩擦が貿易戦争、通貨戦争へエスカレートすることを回避する努力が必要との見解を示した。

 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の第5回中間閣僚会合が6月30日~7月1日に東京で行われ、ASEAN10カ国や中国、オーストラリア、インド、日本、韓国、ニュージーランドなど16カ国の経済貿易閣僚が会議に出席した。各国閣僚は、共同で努力し、問題を乗り越え、互恵的な地域一体化の経済連携協定の合意を目指す意向を改めて示した。

 西村氏は、自由貿易を望む国々は経済パートナー協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)を積極的に推進し、自由貿易政策こそが人心の赴くところということを行動で示していると語り、米国は「多国間の自由貿易協定こそが自国に利益をもたらす」ことを改めて認識する必要があるとの見解を示した。(記者/郭丹)

 

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