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世界経済は「新たな凡庸」を乗り越え、再び力の発揮を求める
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2017-12-19 15:46:52 | 新華社 | 編集: 郭丹

  【新華社北京12月19日】2017年の世界経済の現状は人々を喜ばせた。成長率は6年ぶりに最高を記録し、回復基調はこの十年間で最も広範囲となり、貿易と投資は明らかに回復している……

  回復の喜びはどこからくるのか

  経済学者の一般的な認識では、2017年に世界経済が回復した根本的な原動力は周期的要素にある。企業と消費者の楽観的な気分がもたらす配当予想、新技術と新業態がもたらす成長エネルギーなども、今年の世界経済の回復がしだいに佳境に入る重要な要因となった。

  過去1年、米国経済は引き続き安定的に回復した。米連邦準備制度(FRB)の統計によると、2017年の経済成長率は2・5%に達し、2016年の1・6%を明らかに上回る見通しだ。

  世界第2位の経済大国である中国について、国際通貨基金(IMF)は更に楽観的で、今年は中国の経済成長率見通しを4回連続で引き上げ、中国の経済成長率の「予想を超える」特質がはっきりと見てとれた。

  中国経済の力強い成長は、貿易、投資、金融などのルートを通じて世界に積極的な影響を与える。国連が発表したレポートによると、今年、世界の経済成長に対する中国の寄与率は約3分の1となった。「中国は世界の経済成長率の重要なエンジンであり、世界の成長を促した。」豪シドニー大学ビジネススクールのHans Hendrischke教授はこう述べた。シンガポール国立大学アジア競争力研究所の陳企業所長は、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」の構築も世界経済の回復に強力な原動力を提供したとの認識を示した。

  今年、見通しの中に大量の「ブラックスワン」が現れなかったことも、世界経済の回復見通しにおける一つの重要な要素となった。欧州のいくつかの国の選挙は何事もなく平穏無事に行われ、いくつかの地政学的問題で突発的な事件は起こらず、地政学的な衝突が大幅にエスカレートすることはなかった。また、FRBの利上げがもたらすかもしれない世界の資本動向の変化が大規模に表れることはなかった。

  「新たな凡庸」を乗り越えたとは言い難い

  2017年の世界経済の現状は既に「新たな凡庸」を乗り越えたことを意味しているのか。

  まずは成長の力を考える。2017年の世界経済成長率は、IMFのラガルド専務理事が「新たな凡庸」を論断(注)した2014年よりも高いわけではなく、両方とも3・6%だった。2011年以降、世界経済成長率は2016年の3・2%を除き、3・4%から3・6%の狭い範囲で変動している。つまり、今年の成長率を「新たな凡庸」の年と比べると明らかに上昇しているわけではない。更に重要なことは、現在の世界経済成長率はやはり金融危機が起こる前の10年間の年平均成長率である4・2%を大幅に下回っていることだ。

  回復の持続可能性を考える。コンファレンスボード(全米産業審議会)のケン・ゴールドスタイン顧問は、2010年から計算すると、世界経済は既に8年連続で回復していると見ている。この期間だけで見ると、この回復はいつでもターニングポイントを迎える可能性がある。低い成長状態は景気循環を多少伸ばせるかもしれないが、回復基調の脆弱性も各国の不況循環に対応する複雑性を増やすこととなり、中長期的に見て、世界経済の情勢はまだ楽観視できるとは言い難い。

  回復の期待が再び力の発揮を求める

  IMFによると、2018年の世界経済成長率は3。7%、2022年には3・8%となる見通しだ。これは、今後5年間、世界経済成長が金融危機以前の水準に戻ることが難しいことを意味している。

  経済学者は、2018年、世界経済の回復は少なくとも4つのリスクに直面すると見ている。一つ目が、保護主義リスクだ。トランプ米大統領は国内で税制改革を決定した後、来年は中間選挙を迎えるため、対外的には「貿易」と「ポピュリズム」といったカードに打つ可能性がある。二つ目は、金融政策リスクで、現在の先進国の超金融緩和政策は徐々に収攬している。三つ目は資産バブルリスク。長期的な金融緩和政策で大量の流動性が放出されるにつれ、現在、一部の分野では資産評価額が高すぎるという現象が既に存在している。四つ目が地政学的リスク。朝鮮核問題、中東問題など一部地域の注目を集める問題を中心とした圧力が依然として集まり、同時にイタリアの選挙、ドイツの組閣、英国のEU離脱などを含む欧州の政治リスクが改めて上昇する可能性がある。

  様々なリスクに直面し、専門家は各国が事前に備えることを提案した。IMFのモーリス・オブストフェルド・チーフ・エコノミストは、各国が経済成長をスピードアップさせる景気循環増幅効果のチャンスをつかんで改革を推進し、適当な政策で潜在的な生産を引き上げ、経済の強靭性を高めなければならないとの認識を示した。また、彼は各国が国際協力を強化し、グローバル貿易システムの発展を促進し、金融監督管理を改善することで、グローバル金融の安全を強化するよう呼びかけた。(新華社記者/杜静)

  注:ラカルド専務理事は2014年に「新たな凡庸」という言葉を使い、世界経済が長期的な低い成長の回復状態に直面することを予言した。

 

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新華網日本語

世界経済は「新たな凡庸」を乗り越え、再び力の発揮を求める

新華網日本語 2017-12-19 15:46:52

  【新華社北京12月19日】2017年の世界経済の現状は人々を喜ばせた。成長率は6年ぶりに最高を記録し、回復基調はこの十年間で最も広範囲となり、貿易と投資は明らかに回復している……

  回復の喜びはどこからくるのか

  経済学者の一般的な認識では、2017年に世界経済が回復した根本的な原動力は周期的要素にある。企業と消費者の楽観的な気分がもたらす配当予想、新技術と新業態がもたらす成長エネルギーなども、今年の世界経済の回復がしだいに佳境に入る重要な要因となった。

  過去1年、米国経済は引き続き安定的に回復した。米連邦準備制度(FRB)の統計によると、2017年の経済成長率は2・5%に達し、2016年の1・6%を明らかに上回る見通しだ。

  世界第2位の経済大国である中国について、国際通貨基金(IMF)は更に楽観的で、今年は中国の経済成長率見通しを4回連続で引き上げ、中国の経済成長率の「予想を超える」特質がはっきりと見てとれた。

  中国経済の力強い成長は、貿易、投資、金融などのルートを通じて世界に積極的な影響を与える。国連が発表したレポートによると、今年、世界の経済成長に対する中国の寄与率は約3分の1となった。「中国は世界の経済成長率の重要なエンジンであり、世界の成長を促した。」豪シドニー大学ビジネススクールのHans Hendrischke教授はこう述べた。シンガポール国立大学アジア競争力研究所の陳企業所長は、「一帯一路(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)」の構築も世界経済の回復に強力な原動力を提供したとの認識を示した。

  今年、見通しの中に大量の「ブラックスワン」が現れなかったことも、世界経済の回復見通しにおける一つの重要な要素となった。欧州のいくつかの国の選挙は何事もなく平穏無事に行われ、いくつかの地政学的問題で突発的な事件は起こらず、地政学的な衝突が大幅にエスカレートすることはなかった。また、FRBの利上げがもたらすかもしれない世界の資本動向の変化が大規模に表れることはなかった。

  「新たな凡庸」を乗り越えたとは言い難い

  2017年の世界経済の現状は既に「新たな凡庸」を乗り越えたことを意味しているのか。

  まずは成長の力を考える。2017年の世界経済成長率は、IMFのラガルド専務理事が「新たな凡庸」を論断(注)した2014年よりも高いわけではなく、両方とも3・6%だった。2011年以降、世界経済成長率は2016年の3・2%を除き、3・4%から3・6%の狭い範囲で変動している。つまり、今年の成長率を「新たな凡庸」の年と比べると明らかに上昇しているわけではない。更に重要なことは、現在の世界経済成長率はやはり金融危機が起こる前の10年間の年平均成長率である4・2%を大幅に下回っていることだ。

  回復の持続可能性を考える。コンファレンスボード(全米産業審議会)のケン・ゴールドスタイン顧問は、2010年から計算すると、世界経済は既に8年連続で回復していると見ている。この期間だけで見ると、この回復はいつでもターニングポイントを迎える可能性がある。低い成長状態は景気循環を多少伸ばせるかもしれないが、回復基調の脆弱性も各国の不況循環に対応する複雑性を増やすこととなり、中長期的に見て、世界経済の情勢はまだ楽観視できるとは言い難い。

  回復の期待が再び力の発揮を求める

  IMFによると、2018年の世界経済成長率は3。7%、2022年には3・8%となる見通しだ。これは、今後5年間、世界経済成長が金融危機以前の水準に戻ることが難しいことを意味している。

  経済学者は、2018年、世界経済の回復は少なくとも4つのリスクに直面すると見ている。一つ目が、保護主義リスクだ。トランプ米大統領は国内で税制改革を決定した後、来年は中間選挙を迎えるため、対外的には「貿易」と「ポピュリズム」といったカードに打つ可能性がある。二つ目は、金融政策リスクで、現在の先進国の超金融緩和政策は徐々に収攬している。三つ目は資産バブルリスク。長期的な金融緩和政策で大量の流動性が放出されるにつれ、現在、一部の分野では資産評価額が高すぎるという現象が既に存在している。四つ目が地政学的リスク。朝鮮核問題、中東問題など一部地域の注目を集める問題を中心とした圧力が依然として集まり、同時にイタリアの選挙、ドイツの組閣、英国のEU離脱などを含む欧州の政治リスクが改めて上昇する可能性がある。

  様々なリスクに直面し、専門家は各国が事前に備えることを提案した。IMFのモーリス・オブストフェルド・チーフ・エコノミストは、各国が経済成長をスピードアップさせる景気循環増幅効果のチャンスをつかんで改革を推進し、適当な政策で潜在的な生産を引き上げ、経済の強靭性を高めなければならないとの認識を示した。また、彼は各国が国際協力を強化し、グローバル貿易システムの発展を促進し、金融監督管理を改善することで、グローバル金融の安全を強化するよう呼びかけた。(新華社記者/杜静)

  注:ラカルド専務理事は2014年に「新たな凡庸」という言葉を使い、世界経済が長期的な低い成長の回復状態に直面することを予言した。

 

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