【新華社東京12月19日】2017年の日本の政局は、「一強多弱」の局面が変わらず、「アベノミクス」に好転の兆しは見えなかった。安倍政権は相変わらず周辺国の反対を顧みず、軍備拡張に走り、日米同盟を強化させた。安定しているように見えるその裏では、古くからの対立が蓄積されているのに加え、新たな問題も登場している。
前倒し総選挙
安倍政権が5年目を迎えた2017年。年初から、安倍首相は「森友学園」と「加計学園」の権力乱用スキャンダルに見舞われ、支持率は急落、首相就任以来最大の失脚の危機に陥った。
追い込まれた安倍首相は状況を打開するため9月末、突然衆議院の解散に踏み切り、総選挙を前倒しで行うことにした。主要な野党が選挙前に分裂、緊迫した朝鮮半島情勢に日本国民の変化を求めない心理が働いたなどの要素が重なり、安倍総裁率いる自民党と連立を組む公明党が大勝した。
表面的には、安倍首相は総選挙を前倒しで行ったことで国民の視線をそらし、自民党の実力を証明させた。だが実際は、総選挙に勝利しても多くの有権者の心の中に残る疑問解消には至らなかった。
元気のない経済
この1年で「アベノミクス」は市場を救えない「学説」に成り下がったかのようだ。当初は「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」が「アベノミクス」最大の売りだった。しかし現在、安倍政権がどれだけ矢を放とうとも、経済回復の的(まと)には当たらないだろう。
社会保障費の膨張、潜在成長率の低迷、日本政府は借金で首が回らないなど、深刻な変化をする日本経済には思い切った改革がすぐに必要だ。だが構造的改革が欠けていては、日本経済の内生的な発展の原動力は生まれない。
今年に入り、「アベノミクス」は富裕層と貧困層の二極化を進めている。日経平均株価が大幅に値上がりし、大企業全体の利益は記録的な規模になっている一方で、サラリーマンの賃金は上がらず、内需はさえず、一般庶民は経済成長がもたらす成果を実感できないでいる。
失った輝き
悪いことは重なるもので、今年下半期、日本の製造業のトップ企業に偽装発覚が相次ぎ、かつて輝きを放っていた「日本製」は色あせた。
「日本製」が偽装にまみれたものにまで落ちぶれた。その背景にある原因は諸説あり定まっていない。だが軽視できない主な原因は、世界の製造業の品質が同じレベルになりつつあるいま、「日本製」はすでに祭壇から降ろされていたが、かつて輝きを放っていた有名企業が、方向転換する力を欠いていたこと、または衰退を隠すことに尽力したことだ。しかし、日本の一部の代表的な企業や監督官庁、メディアは、意図的か否か分からないが、この問題について沈黙、隠ぺいを選んだ。
間違いなく、この続けざまに起こった大企業の偽装発覚によって、日本が長期にわたり誇ってきた品質と信用という定評は失われつつある。
拡張の動き
社会福祉が削減されるのと対比されるのは、2017年度の日本の防衛費で、約5兆1千億円に増え、5年連続の増加で過去最大となった。
安全保障面では、安倍政権は朝鮮半島の緊迫した情勢などを利用して日米同盟を強化し、軍備を拡張している。安倍政権は新安保法に基づき自衛隊を米艦護衛に派遣する一方で、民意の反対を顧みず強硬的に沖縄米軍の新基地建設を進め、自衛隊と米軍の一体化を加速させている。
外交面では、安倍政権は「地球儀俯瞰外交」「価値観外交」などの安倍色の強い外交戦略を引き続き用いている。
2018年は、今年の総選挙大勝利により打ち立てられた強力な基盤によって、安倍首相は自民党総裁に再任される見込みがある。その場合、4年後まで引き続き政権を握る可能性があり、戦後の在任期間最長の首相となる可能性がある。憲法改正を正式に政治日程に乗せる可能性があることが、来年の日本で最も注目すべき政治と安全保障に関する動きである。
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