【新華社武漢12月20日】肝臓虚血再灌流障害は肝臓の切除や肝移植手術の過程で避けることのできない合併症だ。中国の専門家は研究により、虚血段階での脂質代謝異常が肝臓虚血再灌流障害の初期における決定的な誘因であり、肝移植手術後に生じる臓器の衰弱や、急性・慢性の組織拒絶現象を引き起こすことを発見した。
武漢大学人民医院心血管内科の李紅良教授が率いるチームは、肝臓虚血再灌流障害分野におけるこの最新の研究成果により、肝臓虚血再灌流障害の根本原因を発見し、このほど国際学術トップレベル誌『ネイチャー・メディシン(Nature Medicine)』上で発表した。
現段階では、肝臓の切除や肝移植手術は肝臓疾病の末期段階における有効な治療手段として最もよく用いられている。統計によると、肝臓虚血再灌流障害は10%の確率で早期肝臓移植後の臓器衰弱を、45%の確率で急性・慢性の組織拒絶現象や臓器の損傷を引き起こし、肝臓切除手術の適応症及び辺縁性肝臓供与体の応用を大幅に制限してきた。
李紅良教授のチームはトランスクリプトミクスやプロテオーム解析、メタボロミクスなどを組み合わせて分析を行い、虚血段階における脂質代謝異常が肝臓虚血再灌流障害における重大な病理変化であることを初めて明らかにした。このうち、アラキドン酸-12-リポキシゲナーゼ(ALOX12)の増加と12-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(12-HETE)の蓄積が特に顕著で、脂質代謝異常に続いて炎症及び細胞の死亡が起こる。
専門家たちは、この研究により肝臓虚血再灌流障害の根本的な発病メカニズムが突き止められ、これまでの臨床肝臓虚血再灌流障害の研究における空白を埋め合わせ、肝臓虚血再灌流障害分野の治療問題に新たな突破口を見出したと考えている。
李紅良教授のチームは世界で初めてヒト以外の霊長類のアカゲザルで肝臓虚血再灌流のモデルを構築し、ML355の抑制がアカゲザルの肝臓虚血再灌流障害過程及びその後の肝臓に対して保護の役割を発揮することを系統的且つ長期的に観測したという。この研究ではすでに薬品開発や臨床への応用に関する4つの特許を出願し、薬品開発企業と提携して関連臨床用薬品の開発を行っている。
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