【新華社西安7月31日】中国陝西省安康市寧陝県にあるトキ野生復帰センターの李夏所長は、トキの野生復帰プロジェクトに関わってすでに11年になる。
李氏は11年来、15万キロを移動し、38のトキ家族の形成と193羽のトキのひなの誕生を見届け、30回以上の生き別れと死別を目の当たりにしてきた。また、延べ1万人余りに科学普及活動を行い、論文12本を発表した。
トキは地球上で最も古い鳥類の一つで、東アジア特有の種。20世紀半ば以降、個体群数が激減し、ロシア、韓国、日本が次々とトキの絶滅を発表した。同省の洋県姚家溝村で1981年5月23日、野生のトキ7羽が発見された。絶滅危惧種を救うため、トキ保護関係者はトキの人工繁殖や野生復帰などに着手した。
李氏は「トキの保護は、まずトキの生命の価値を尊重し、生き方を尊重し、さらに生存の権利を尊重しなければならない」と語気を強めた。
しかし、トキの保護は生易しいものではない。寧陝県は農業と林業を中心産業とする貧困県で、農民の大部分は耕作で生計を立てている。しかし、トキが生息するための環境基準は非常に厳しく、農地への化学肥料散布は厳格に禁止されなければならなかった。
農業活動とトキ保護の矛盾を解決するため、李氏は農民にトキ保護の重要性を説き続け、同時に資金を調達して灌漑用水路を修復し、有機農産品と林下経済作物(林下の土地資源などを利用して得られる作物)を栽培するよう指導し、トキを保護しながら農民が利益を得られるように図った。
李氏は2011年、日本の支援プロジェクトにより、トキが分布する地域の農民に灌漑用の水路を3千メートル以上修築し、20軒以上の農家に対して100ムー(約6.67ヘクタール)余りのチョレイマイタケの栽培とクリの接ぎ木を支援し発展させた。また、養成事業を立ち上げ、延べ300人余りに関連技術を教え、農村専業合作社(協同組合)のイネの有機栽培と販売に対する指導と抱き合わせ販売を積極的に支援し、トキの保護活動を一人一人の心に深く印象づけた。
李氏は、寧陝県の野生のトキ個体群の形成から、個体群の調整と維持に至るまでの移行の証人となり、厳密な科学的なデータで世界にトキ保護の希望を示した。
あるデータによると、現在、世界のトキの個体数は3千羽を突破、うち、同省内のトキの個体数は2500羽余りに達し、生息面積は1万4千平方キロメートルに達した。
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