:
ニュース解説:豪雨に猛暑 防災大国日本がなぜ「ダメージを負う」のか
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-07-25 14:03:47 | 新華社 | 編集: 王珊寧

 

  【新華社東京7月25日】今年の7月は日本にとって災難の月だ。上旬の豪雨災害では200人余りが死亡。豪雨の後は、大部分の地域で連日の猛暑が続いている。各地で観測史上最高気温の記録を更新、気象庁はこの猛暑を「災害」と呼んでいる。防災大国の日本がなぜ、この豪雨と猛暑で「ダメージを負う」のか。異常気象という要素のほか、防災体制の不備や深刻な高齢化なども重要な原因と言える。

  今月上旬、西日本で豪雨が続き200人余りが死亡した。日本において1982年以来、最多の死傷者を出した水害であり、日本政府は24日、西日本豪雨災害を正式に「激甚災害」に指定、財政支援などの手段を通じて被災地復旧を後押しすると決定した。

  これほどの巨大災害となった大きな原因の一つは、大量の雨が集中的に降ったことにある。気象庁の今月上旬の統計によると、24時間降水量は19都道府県75地点、72時間降水量は22都道府県119地点で、観測史上最大を更新した。多くの地点で降水量が7月の平年値の2〜4倍に達した。

  同庁の分析によると、今回の西日本の広域豪雨は、主に「梅雨前線」の停滞に台風7号が重なった影響だという。毎年夏には、太平洋上の暖かく湿った気流が絶えず南から北へ移動し、日本は南から北へと順次梅雨入りする。今回は「梅雨前線」が西日本付近上空へ到達した後、北部のオホーツク海高気圧と南部の太平洋高気圧に挟まれて「身動きが取れなくなり」、梅雨前線が異常に長期停滞し、西日本に大雨をもたらした。

  長時間の激しい雨は、間違いなく今回の日本の豪雨災害の「元凶」だが、防災体制と防災意識が進んだ日本で、なぜこれほど多くの死傷者を出したのか?

  日本メディアの分析によると、西日本の山がちな地形が関係しているという。平らで広々とした住宅用地が限られるため、多くの民家が山沿いに建てられている。建築時に地滑りなどの要素を考慮し、用地設定による一定の回避措置などは取られていたが、想像を絶する降水量は予想を超えた地滑りを招き、多くの民家がのみ込まれた。

  また、日本の災害警戒システムは避難を強制するものではなく、住民に学校の体育館など公共施設への早めの避難を呼びかけるにすぎない。このため気象庁が「大雨特別警報」を発表した後も、降り続く豪雨の中、依然として多くの住民が僥倖的な心理から自宅にとどまった。あるいは深夜の豪雨の中、避難場所への移動が困難なケースもあり、結局逃げるタイミングを逸して堤防決壊による河川の氾濫や洪水などで死亡した。このことから、日本のメディアも自国の災害避難システムを反省し、政府の発表する警報と住民の自主避難に頼るだけでは、異常気象による災害への対応として不十分だとした。

  豪雨が過ぎ去ると、日本は「バーベキューモード」に突入した。全国各地で気温が史上最高を記録、埼玉県熊谷市では23日に摂氏41・1度の高温となり、国内観測史上最高気温を更新した。気象庁の分析によると、高温の主な原因は太平洋高気圧が移動しないまま「チベット高気圧」が広がったことで、高気圧の二重構造が日本の上空で「布団の2枚重ね」状態になっているという。同庁は同日、緊急記者会見を開き、「災害的な」猛暑は少なくとも8月上旬まで続くと予想、人々に熱中症への注意を呼びかけた。

  豪雨災害と長引く猛暑は多くの死傷者を生んでいる。両現象には、高齢者が被害を受けやすいという共通項がある。日本は非常に深刻な高齢化が進む国。今回の豪雨災害では死者の約7割が60歳以上だった。総務省消防庁の統計によると、このたびの猛暑で16~22日のわずか1週間で2万2千人以上が熱中症で救急搬送され、うち半数近くが65歳以上の高齢者だという。

 

  当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

推薦記事:

日本はなぜ豪雨でこれほどのダメージを受けたのか

新華網日本語

ニュース解説:豪雨に猛暑 防災大国日本がなぜ「ダメージを負う」のか

新華網日本語 2018-07-25 14:03:47

 

  【新華社東京7月25日】今年の7月は日本にとって災難の月だ。上旬の豪雨災害では200人余りが死亡。豪雨の後は、大部分の地域で連日の猛暑が続いている。各地で観測史上最高気温の記録を更新、気象庁はこの猛暑を「災害」と呼んでいる。防災大国の日本がなぜ、この豪雨と猛暑で「ダメージを負う」のか。異常気象という要素のほか、防災体制の不備や深刻な高齢化なども重要な原因と言える。

  今月上旬、西日本で豪雨が続き200人余りが死亡した。日本において1982年以来、最多の死傷者を出した水害であり、日本政府は24日、西日本豪雨災害を正式に「激甚災害」に指定、財政支援などの手段を通じて被災地復旧を後押しすると決定した。

  これほどの巨大災害となった大きな原因の一つは、大量の雨が集中的に降ったことにある。気象庁の今月上旬の統計によると、24時間降水量は19都道府県75地点、72時間降水量は22都道府県119地点で、観測史上最大を更新した。多くの地点で降水量が7月の平年値の2〜4倍に達した。

  同庁の分析によると、今回の西日本の広域豪雨は、主に「梅雨前線」の停滞に台風7号が重なった影響だという。毎年夏には、太平洋上の暖かく湿った気流が絶えず南から北へ移動し、日本は南から北へと順次梅雨入りする。今回は「梅雨前線」が西日本付近上空へ到達した後、北部のオホーツク海高気圧と南部の太平洋高気圧に挟まれて「身動きが取れなくなり」、梅雨前線が異常に長期停滞し、西日本に大雨をもたらした。

  長時間の激しい雨は、間違いなく今回の日本の豪雨災害の「元凶」だが、防災体制と防災意識が進んだ日本で、なぜこれほど多くの死傷者を出したのか?

  日本メディアの分析によると、西日本の山がちな地形が関係しているという。平らで広々とした住宅用地が限られるため、多くの民家が山沿いに建てられている。建築時に地滑りなどの要素を考慮し、用地設定による一定の回避措置などは取られていたが、想像を絶する降水量は予想を超えた地滑りを招き、多くの民家がのみ込まれた。

  また、日本の災害警戒システムは避難を強制するものではなく、住民に学校の体育館など公共施設への早めの避難を呼びかけるにすぎない。このため気象庁が「大雨特別警報」を発表した後も、降り続く豪雨の中、依然として多くの住民が僥倖的な心理から自宅にとどまった。あるいは深夜の豪雨の中、避難場所への移動が困難なケースもあり、結局逃げるタイミングを逸して堤防決壊による河川の氾濫や洪水などで死亡した。このことから、日本のメディアも自国の災害避難システムを反省し、政府の発表する警報と住民の自主避難に頼るだけでは、異常気象による災害への対応として不十分だとした。

  豪雨が過ぎ去ると、日本は「バーベキューモード」に突入した。全国各地で気温が史上最高を記録、埼玉県熊谷市では23日に摂氏41・1度の高温となり、国内観測史上最高気温を更新した。気象庁の分析によると、高温の主な原因は太平洋高気圧が移動しないまま「チベット高気圧」が広がったことで、高気圧の二重構造が日本の上空で「布団の2枚重ね」状態になっているという。同庁は同日、緊急記者会見を開き、「災害的な」猛暑は少なくとも8月上旬まで続くと予想、人々に熱中症への注意を呼びかけた。

  豪雨災害と長引く猛暑は多くの死傷者を生んでいる。両現象には、高齢者が被害を受けやすいという共通項がある。日本は非常に深刻な高齢化が進む国。今回の豪雨災害では死者の約7割が60歳以上だった。総務省消防庁の統計によると、このたびの猛暑で16~22日のわずか1週間で2万2千人以上が熱中症で救急搬送され、うち半数近くが65歳以上の高齢者だという。

 

  当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

推薦記事:

日本はなぜ豪雨でこれほどのダメージを受けたのか

010020030360000000000000011100381373472361