【新華社東京7月22日】西日本地区はこのところ災難が続き、6月の大阪北部地震に加え、7月の豪雨は河川の氾濫や洪水、多くの土砂災害を招いた。西日本豪雨で12日時点、200人が死亡、無数の家屋が倒壊した。299人が死亡した1982年の長崎大水害以来、最も深刻な水害となった。
日本は豪雨による災害を予測していた。気象庁の統計によると、河川の氾濫などを起こし1万棟以上の建物が浸水する豪雨が、同国では2004年以降11回発生している。
今から20年前、まだ阪神大震災の傷跡が残る1998年に、日本の国土総合開発計画では新たな国土軸(経済ベルト)の創造によって、一極集中する太平洋国土軸で大地震などの自然災害が発生した際の経済的な大打撃を防止しようとした。この「21世紀の国土のグランドデザイン」という名の開発計画は、依然として大規模な国土開発を利用して景気回復を促し、地域格差を解消し、自然災害を防ぐという伝統的考えにとどまり、豪雨や洪水災害を予測はしても、地震ほど重視してはいなかった。
2005年、日本の国土計画の理念に変化が現れた。国土の大規模開発は完成し、この先必要となるのは国土の「整形」だとする考えだ。「減災」の理念に基づく防災対策を推進し、国土の強靭化を打ち出し、災害による被害を最低限に抑えることが国土計画の重要な意義の一つとなった。このため2008年と2015年の2回の国土形成計画では、豪雨を含む重大な自然災害は「日本が直面する課題」という目を引く位置に格上げされた。
残念なことに、日本は豪雨が災害をもたらす可能性を予見し、それは遅くはなかったが、対応措置を講じるのが遅れた結果、今年7月の豪雨が西日本で猛威を振るい、国民の生命と財産に重大な損失を及ぼした。この教訓は理由を深く考えるべき価値がある。
まず、日本各地の多くの橋やダム、堤防、トンネル、公共建築などはどれも高度経済成長期に建てられたもので、すでに半世紀以上が経ち、老朽化の問題が出始めている点だ。補修や改築が急がれる状態にあった。
次に、財政のやりくりがつかず、一方に予算を割り振ると他方がおろそかになっている点だ。豪雨水害を防ぐのに、早くから予見しながら対策が遅れた深層の原因も、資金投入不足にある。より的確に言うなら、お金はこの方面に使われてこなかった。地方と都市の地域格差解消のため、日本の公共事業予算額は1978年の5兆5千億円から、1997年には9兆8千億円まで増加した。
21世紀に入ると、日本は財政不均衡の圧力が急激に高まり、小泉純一郎首相(当時)は2002年に「小さな政府」を主張し公共事業予算を圧縮し始めた。続く歴代政権もこれにならい、巨額の国債と財政赤字の圧力の下、前例を踏襲し公共事業予算は2012年に4兆6千億円まで圧縮された。同じく「小さな政府」の立場ながら、「地方創生」戦略も掲げる安倍晋三氏が政権を取って以降、ここ数年の公共事業予算は基本的に6兆円前後を維持してきた。
治水への支出も減少し続けた。日本メディアの報道によると、日本政府の2018年度の治水事業への支出はわずか7961億円で、ピークだった1997年度の1兆3700億円から大幅に減少している。
3番目に、急激な人口減少と深刻な高齢化により、地方の重大な自然災害への対応力が衰えている点が挙げられる。今回甚大な被害を受けた広島県と岡山県は、災害発生時の緊急救助の人手が足りず、科学技術の手段を用いて防災・減災する人材も不足していた。重大な自然災害に対する防御力不足は人々の不安を高め、都市部への人口集中に拍車をかける悪循環となっている。
4番目に、日本社会が地震、津波などと比べ豪雨による水害をそれほど重視していなかったといえる。メディアの報道でも、日本企業の豪雨対策はほかの災害より明らかに薄弱だという。
同時に、日本の今回の災害救助の方面には注目すべき点がいくつもあった。情報通信技術の運用や救助計画の事前設定、また、多少の混乱はあったが高効率で災害救援物資を輸送できる、ここ数年力を入れてきた物流ネットワークなどだ。これらの注目点と教訓は共に、豪雨による災害と救助の戒めとなる。(記者/胡俊凱)
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