14日、雅江県北部の帕姆岭にあるクヌギ林で、落ち葉が形成した汚染と無縁な厚い腐植土の中で成長するマツタケ。(新華社記者/江宏景)
【新華社成都8月16日】中国四川省カンゼ・チベット族自治州雅江県では毎年7月から9月がマツタケの収穫期となる。同県八角楼郷王呷村のチベット族住民、寿生さんと兄の山寿さん、妻の斯郎志瑪さんはこの時期、毎日山に入りマツタケを収穫する。貧困家庭として認定されている寿生さん一家5人にとって、毎年夏に収穫するマツタケは最も重要な収入源となる。
寿生さんらがマツタケを収穫する場所は、県北部の帕姆岭にある標高3500メートルから3900メートルのクヌギ林。一家は毎朝4時に起きなければならない。マツタケは生育可能な環境が極めて限定されており、汚染がなく人の手が入っていない高山クヌギ林、または高山松(Pinus densata)と高山クヌギの混合林が必要で、落ち葉が形成する厚い腐植土はマツタケ菌の生育に適した環境を提供している。マツタケの発芽前には十分な雨が必要で、芽を出してからは十分な日光が必要となる。さらにさまざまな昆虫や動物により傷がつくことも避けなければならない。
雅江県の面積は7854・5平方キロ。森林は総面積の50・8%を占め、美しい生態環境を持つ。クヌギ林の多くは標高3500メートル以上に分布しており、マツタケにとって最適な成長環境といえる。同県の年間マツタケ生産量は千トン以上に達し、2013年8月3日に中国食用菌協会から「中国マツタケの郷」の称号を授与されている。また2014年には「雅江マツタケ」として国家商標局から地理標識商標を取得した。
寿生さんは「運が良い時にはだいたい1キロも歩けばマツタケを1つ見つけることができる。ただし腰を百回以上も曲げたり伸ばしたりしなければならない。1回で5キロ採れた時もある。それが最高記録だ」と語る。マツタケ狩りは楽な仕事ではない。
マツタケ狩りは経験がものを言う。マツタケは通常クヌギの根本に繁殖し、菌糸から木の根や土壌の養分を吸収する。ただ、腐植土が厚く堆積した薄暗い林の中では、頭を出したマツタケもクヌギの落ち葉も同じ色をしているため見つけるのはとても難しく、よほど目が良くなければ見つけることはできない。
マツタケは18種類のアミノ酸や人体に必要な14種類の微量元素のほか、マツタケオールや二重鎖マツタケ多糖、マツタケペプチドの3種類の活性物質を含む世界でも珍しい天然薬用菌。現時点では人工栽培が実現していない。雅江県のマツタケは身厚で柔らかくきめ細かで、口当たりは滑らかでジューシー。芳醇な独特の香りを持つ高級マツタケとして知られている。多くの人に愛され、毎年日本や韓国に輸出されている。
地元政府はここ数年、「産地+電子商取引+コールドチェーン物流」「WeChat(微信)取引+専業合作社」などの経営モデルで物流企業を誘致し、配達範囲を全国の多くの都市に広げてきた。宅配を通じて販売されるマツタケはこれまでで2千トン余りに達し、マツタケ生産地域で1世帯当たり6千元の収入増加を実現した。同県が今年申請をして認められたマツタケの輸出量は1812・5トン、輸出額は5億元を見込んでいる。(記者/江宏景)