日本では保育園に入る子供が多いが、施設や人手不足などが理由で順番を待たなければいけない。その子供たちは「待機児童」と呼ばれる。
日本政府はこのほど、「子育て安心プラン」を公表し、「待機児童ゼロ」の計画を2018年から2020年に年度末に先送りした。この情報が伝えられると、政府による待機児童問題解決を望む家庭から不満が沸き起こった。日本の各主流メディアは、政府のこの行動は待機児童問題を解消できず、より深刻な社会問題へと発展すると論じた。
若い女性の就職への影響
昔、日本社会には「男は働き、女は家庭を守る」という伝統的な概念があり、多くの家庭において女性が育児を行い、待機児童は少なかった。しかし近年、続く不景気、収入の減少、高齢化の深刻化、労働力不足、女性が平等を求めるなどにより、働く女性が増えている。しかし、日本の育児施設の収容能力は変化に対応しきれず、待機児童が急増し、回避できない社会問題になった。
日本政府が待機児童の解消に力を入れ始めたのは21世紀初頭である。2012年、日本政府は「待機児童ゼロ」計画をスタートさせた。最新の統計によると、2017年4月時点で待機児童の数は2万3000人に達した。しかし「読売新聞」は、政府の統計は児童が保育園に入れない、親が育児休暇を延長しざるを得ないなどの状況を除外しており、これらの待機児童も含むと実際は9万人を超えると論じた。この数字の背後には、仕事と育児の選択で悩む多くの若い女性がいる。
東京都高等学校教職員組合の藤野正和会長は、育児は本来、家庭、住宅地、政府、社会が共同で担う責任だが、日本の現状は育児を女性の天職と捉え、その重責を若い女性に丸投げしているとの見解を示す。
日本の教育問題に関心を寄せる南京工業大学外国語学院の陳世華教授は、日本の安倍晋三首相は女性が才能を発揮できる「1億総活躍社会」を掲げているが、待機児童問題が解決されず、職場で活躍していた女性は育児のために「専業ママ」に戻らなければいけなくなっていると指摘。女性を社会発展に参加させるには、「専業ママ」から解放し、すべての待機児童が保育園に入れるようにし、職場復帰に対する不安を根本から解消する必要があるという。
そのほか、待機児童問題をはじめとする育児問題は、出産適齢期の女性の出産に対する考えにも影響する。彼女たちは出産を望まなくなり、日本の高齢化と少子化を深刻化させることになる。そうなれば、日本政府が望む好循環は悪循環になってしまう。