複数の権威筋からの情報によると、中国ロボット産業の健全な発展促進に向け、中国工業情報化部(工信部)などが相次いで一連の措置を打ち出す見通しだ。工信部は、次のステップの関連産業促進政策で、2つの重要課題の解決に取り組む計画だ。第1は、ロボット産業をミドルハイエンドレベルに発展させること。第2は、市場ルールを整備し、ロボット産業の無秩序な発展を防止することが課題となる。経済参考報が伝えた。
工信部の辛国斌 副部長は、「中国のロボット産業は良好に発展しており、2016年の産業用ロボット生産台数は前年比34.3%増の7.24万台に達した」と指摘。また、ロボット企業は800社を超え、関連製品 サービスはすでに、機械、電子、化学、軽工業、船舶、採鉱、医療手術、リハビリ、飲食、消費、消防、公共サービスなどの分野で実用化されているという。
ロボット産業の健全な発展促進に向け、今後の措置は2つの重要ポイントが焦点となる。まずは、ロボット産業のミドルハイエンドレベルへの発展を推し進めることだ。それに向けた工信部の具体的な取り組みは次の通り。◇産業のイノベーション資源を一段と整理統合し、ロボットイノベーションセンターの設立を推進、産業のイノベーション能力の向上を図る。◇ロボット産業の中核部品の品質と信頼性の向上を重点的に支援し、産業発展への基盤を固める。◇ロボットのモデル事業を展開し、新興産業、伝統的製造業での実用化を推進する。◇製造業の人材育成に向けたガイドラインを整備し、ロボット専門の人材育成を強化する、――など。
次に、市場ルールの整備について、工信部は計画を重視する姿勢を強めており、科学的に筋道を踏んで産業の発展を推進する方針だ。具体的には、◇産業用ロボットの業界ルールと管理弁法を早期に策定。参入基準を一段と引き上げ、市場競争のルールを整備する。◇ロボットの業界団体設立を進め、研究開発、イノベーション、公平な競争にプラスとなる業界規則を整える。業界の自律性を強化し、検査認証制度の整備を加速する。業界基準の改訂を進め、ロボットと中核部品の認証 評価体系の整備を進める。
国家製造強国建設戦略諮問委員会の予測では、2020年までに、中国の産業用ロボット販売台数は15万台を超え、保有台数は80万台に達する見込み。次世代ロボットの情報技術はブレークスルーを実現し、年産1万台以上、事業規模100億元超で国際競争力を備えた大手企業2-3社が育成される見込み。ロボット関連の産業集積群形成については5-8カ所を目指す。
複数の業界関係者によると、主要産業用ロボットの市場価格は現在、1台あたり15-50万元程度で、一部のハイエンドモデルは100万元クラスに達する。1台あたり20万元として試算すると、2020年の中国産業用ロボット販売額は450億元前後に達する見込み。サービス用ロボットも含めた産業全体の販売額は500億元を突破する見通しだ。
しかし工信部は、中国のロボット産業にはまだ問題が残っていると強調する。苗圩部長、辛国斌 副部長が度々指摘したように、独自ブランドや中核技術などの方面で、中国のロボット、特に産業用ロボットの多くはまだローエンド製品が散見され、6軸以上の多関節ロボットはあまり出回っていない。このため、ロボット産業にはハイエンド産業のローエンド化と、ローエンド製品の生産能力過剰というリスクが存在するという。
工信部はこれについて、「中国製造2025」の全体計画と要件に基づき、各省市とともにロボット産業連盟の交流強化を含め、省市別のガイドラインを制定した。このほか、工信部は産業用ロボットの業界参入要件の策定を急ぐ。参入基準引き上げなど一連の措置を通じ、ロボット産業の科学的で整合性のある、健全な発展を促したい考えだ。
(チャイナネット)
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