「2016年末、中国では60歳以上が2.3億人に達し、総人口の16.7%を占める。65歳以上は1.5億人で10.8%を占める。現在、1人の高齢者を2.8人で養っているが、2050年には1.3人で養うことになるだろう」。
人力資源社会保障部年金保険司の賈江副司長は2017年3月28日、全国老齢工作委員会弁公室、民政部、国家発展改革委員会、人力資源社会保障部、国家衛生計画生育委員会が共催した「第13次五ヵ年計画高齢事業発展と老後保障体系建設計画」(以下「計画」)の記者会見で上記のように述べた。
老後保障の負担をどう緩和していくか。「計画」では、基本年金保険制度の完備と改革の実施するための案が提出されている。つまり、個人税収繰延型商業年金保険の試験区の推進などである。
賈江副司長は介護保険について、主に年金保険制度の改革と完備が必要であり、保険加入者の支払の奨励 促進システムを健全に進めるなど様々な総合的施策を通じ、長期的バランスのある基金を実現させるべきだと述べる。年金保険システムを多面的に発展させることで、国が制定した基本年金保険に生じている負担を軽減することを提案している。
中国社会科学院世界社会保障研究センターの房連泉秘書長は取材に対し、20年以上前に年金保険制度が作られた当時、1人の高齢者を5人で養う計算だったが、現在は2.8人にまで下がっているとした上で、この数字の変化からも年金支払圧力は確実に高まっていると指摘する。 3分の2の省が積立不足に データでは2020年までに、60歳以上の高齢者人口が2.55億人前後に増加し、総人口の17.8%を占めると予測されている。
高齢者が急増するに従い、中国の社会保障制度の持続可能性に疑問符がつくことになった。賈江副司長は、高齢者1人を2.8人で養う現状に対し、2050年には1.3人にまで下がるという予測を紹介する。
今年3月、人力資源社会保障部の尹蔚民部長は記者会見で、10人で1人の高齢者を養う省もあれば、1.2人で1人の高齢者を養う省もあるなど、その負担は省ごとに異なると紹介した。また、高齢者の急増に伴ってその数値は変化していくはずで、もし有力な措置を採らなければ、年金保険基金の運用に問題が生じると指摘している。
房連泉秘書長は、この数値が少なくなればなるほど、基金収入の増加速度が支出速度に追いつかず、年金給付圧力がますます高まっていくと同時に、毎年の年金待遇を調整する必要があることから、支出負担はさらに高まると指摘する。
人力資源社会保障部社会保険事業管理センターが発表した「中国社会保険発展年度報告2015」によると、2015年、黒竜江省、遼寧省、吉林省、河北省、陝西省、青海省の城鎮企業社員の年金保険基金は収入より支出が上回った。この現象は前年より3省増加している。
これに対し房連泉秘書長は、「当期の収支状況を見ると、年金の支出が収入を上回る場所が増え続けており、2015年は21省、2016年は22省となっている。3分の2の省が当年の収入だけでは足りずに財政支援を必要としている」と述べる。
上述の「規則」では、より多くの支えのある、全てが網羅された、より公平で、より持続可能な社会保障体系を、2020年までに完備させるという目標を設定している。城鎮の社員と市民の基本年金保険の加入率は90%に達しており、基本医療保険の加入率も95%以上で安定している。
賈江副司長は年金保険について、主に年金保険制度の改革と完備が必要であり、保険加入者の支払の奨励 促進システムを健全に進めるなど様々な総合的施策を通じ、長期的バランスのある基金を実現させると述べる。具体的には、基金増収のための様々な工夫、基金支出の厳格な管理、多面的多層的な年金保険体系の発展などを通じ、国が決めた基本年金保険の圧力を軽減させていく。
同氏はまた、企業年金を大いに発展させると共に個人備蓄性年金保険と商業年金保険の発展を奨励することで、様々な階層の年金需要に応えていくことも強調した。
年金保険制度改革全体案の提出 2016年、城鎮の企業社員の基本年金保険基金の総収入は2兆8400億元だった。総支出は2兆5800億元で、2600億元の剰余となった。累計剰余金は3兆6700億元で、17カ月の支払分が確保できている。
しかし、高齢化社会が加速するに従い、年金保険を支払う人の割合が減少する一方で年金を受け取る人の割合が増加しており、基本年金保険の持続可能性が社会問題として注目され続けている。
昨年12月、「中国社会科学院社会保障フォーラム」および「中国年金発展報告2016」発表会の席上で中国社会科学院の李培林副院長は、「2015年までに企業年金参加者数は2316万人、職業年金者は約4000万人だが、これは全国の就労人口の8.2%に満たない。カバー範囲が狭すぎる。企業年金の累計額は1兆円未満にすぎない。職業年金も始まったばかりで、第二の支えの資産はGDPの1.5%にも達しない」と紹介している。
「計画」では、基本年金保険制度を完備、改革する総合方案を提出している。個人運用と結合した基本年金保険制度を完備し、職業年金、企業年金、個人備蓄性年金保険、商業年金保険を含む多層的年金保険体系を構築する。同時に、個人税収繰延型の商業年金保険の試験区を推進するとしている。
(チャイナネット)
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