東洋大学の忘れ物の戸棚
今年の旧正月後、東京に戻った。しかし、自分の不注意のせいで、成田空港に財布が落ちた。空港はいつも混雑で、また財布がいつどこに落ちたかも知らなかったので、お問い合わせに行って自分のことを係員に伝えた。そして、係員は「遺失届出書」を私に渡し、自分の個人情報と忘れ物の情報を書いてもらった。その後、係員は私の書いた「遺失届出書」を見ながら、ネットワークを調べてから、「財布は見つけました。忘れ物センターに取っていい。」と言った。これを聞いて不思議だと思った。なぜかと言うと、財布を取り戻すのは思ったより速いし、便利だからだ。
この前、日本人の先輩から「日本で忘れ物をしたら、必ず戻るよ」と言われた。当時、その意味はよく分からなかったが、今回の経験を通して「忘れ物が必ず戻る」に興味を持つようになった。思えば、たぶん、その要因は2つある。
第1に、忘れ物センターがあちこちにあるので、忘れ物を取り返すのは便利だ。実は、空港やスーパーだけでなく、忘れ物センターはコンビニや交番などのような小さな公共の場にもある。もちろん、場合によってその様子が異なる。例えば、うちの東洋大学の忘れ物を取り扱うところは、小さなグラスの戸棚だ。その中に、書籍、充電器などの忘れ物がきちんと整っている。また、取り返しの手続きは簡単だ。即ち、教務課に申請してから、自分の忘れ物を取り返すことができる。
第2に、忘れ物に関する賞罰が明確なので、日本人の行動準則は定められる。1899年、日本政府は『遺失物法』を作った。この法律によって、忘れ物を拾えば、5日間以内に政府に渡す必要がある。一方、忘れ物を勝手に取り返すのを防ぐために、1907年に日本政府は『刑法』の中に「横領罪」を設立した。そのため、『遺失物法』や『刑法』を通して、日本政府は忘れ物に関する賞罰制度を早期から設立し、日本人の行動準則を定めた同時に、よい社会風習が形成されたと言える。
2013年9月の国際オリンピック委員会総会で、東京五輪招致委員の滝川クリステルは、日本の「忘れ物が持ち主の元へ戻ってくること」をわざわざ挙げて紹介していた。もちろん、2020年のオリンピック開催地に東京が選出されたのは日本の「忘れ物が戻る」と関係がないが、しかし、このような文化が日本文化の新たな代表になったのは間違っていないだろう。
(作者/陳洋 東洋大学大学院社会学研究科 博士後期課程在学)
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