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VR体験店の7割が赤字状態 産業化への道遠く
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2017-01-10 14:34:40 | 人民網日本語版 | 編集: 薛天依

 

  2016年は中国のVR元年と言われてきた。次々と資本を呼び込み、広州や深圳の街角ではVR体験店が増えた。しかし最近発表された「中国VR体験店の現状白書」によると、3000店あるVR体験店のうち、2016年に利益を出せたのは3割に満たなかったという。業界筋の多くは、VRコンシューマー市場の臨界点が来るのはまだ先のことだと考えている。

 メガネあるいはヘルメットを装着するだけでバーチャルな世界に入り込むことができる。人々を魅了する想像空間と幅広い応用性から、VR産業はIT業界や資本家を惹きつけてきた。2016年、中国では百度、アリババ、テンセントが相次いで参入すると同時に、上場企業の60社以上がVR業界への参入を宣言した。 2015年から2016年初までは熱い注目を集めたVRだったが、昨年5月以降になると資本流入に急ブレーキがかかった。国内著名VR企業の「Alfa Real」と「Miidol」の給与未払いが明らかになり、「Mojing」もリストラを余儀なくされた。「以前はVRと言えば誰もが乗り気になった。今では電話でVRの投資について話すと、“今忙しいからそれはまた明日話そう”と言われるようになった」と、「VRseen」の孫静CEOは恨めしそうに話す。シンクタンク「易観」のシニアアナリストである趙子明氏は取材に対し、VR業界は冬の時代に入ったわけではなく、市場が成長する前段階で過度にVRに肩入れする人がいたために、必要以上の高みに上ってしまったのだと説明する。投資家と市場は、いま冷静になりつつある。市場が理性を取り戻すことはVR業界にとって悪いことではない。

  中国は産業チェーンの基礎を持っている

  中国でVR産業は、国家戦略の1つに格上げされている。2016年3月に発表された第13次五カ年計画では、VRを含む新産業のイノベーションと産業化を重点的に支援し、成長エンジンにするとしている。 2016年4月、工業情報化部電子技術標準化研究院は「VR産業発展白書5.0」を発表し、研究面からVR産業の重要性を述べている。政策の後押しの下、VR産業連盟は様々な場所でVR産業検討会やフォーラムを活発に開催している。 中国電子映像業界協会の彭健鋒副秘書長は、中国のVR産業で必要な産業チェーンについて、「現在、世界で新たに増加する半導体ディスプレーの生産は基本的に中国大陸に集中している。2017年末までに中国大陸で28本の液晶パネルのラインが生産される。うち8.6代以上の次世代ラインは11本。中国の生産は世界一になる可能性が高い」と語る。 また同氏は、「後発者優位により、中国での新規投資は新技術製品に集中している。中国は完全に今後の大パネル化やVR普及のニーズをおさえている。同時にVR一体機も、中国の持つ大きな製造能力と産業チェーンの調整力ですぐにコストを下げることができる」と述べる。趙子明氏も、「中国のVR産業チェーンの基礎は厚い。ハイテク設備にはやや高い技術的ハードルがあり、追いつくのには時間がかかるが、そう遠いことではない」と話す。

  産業化までにはまだ時間がかかる

  未来研究者のケビン・ケリー氏は広州での取材に対し、10年後にはVRプラットフォームがスマホに取って代わると予言した。業界の遠大な見通しは未来を確かなものにするが、現在の技術の産業化、応用化にはまだまだ時間がかかる。現在の商品も予想ほどのものになっていない。 業界構造から見ると、中国のVR分野にはスタートアップ企業が無数に存在する。しかしパクリ主義や楽な仕事に走る人々も少なくない。これが顧客ニーズを満たせない根源になっている。「爆風集団」の馮鑫坦CEOは、「VR業界は現在、3つの技術的問題を早急に解決する必要がある。まず困難な仕事を避けないこと。VRメガネは約500グラムだが重すぎる。次にVRは解像度の問題を解決すべきだ。第三に技術問題は頭が痛いものであることだ」。 彭健鋒氏は取材に対し、「最大の問題は基礎研究と量産開発の間にある研究開発が少ないことだ。多くの技術的問題を解決しないまま製品にしている」と話す。

  専門家「娯楽ゲーム分野でならVRは稼げる」 彭健鋒氏は取材に対し、「VRの産業化は問題ではない。技術革新によって爆発的ブームを起こすことができる」と話す。 アメリカと比較すると、中国企業は独自技術開発ではやや弱いが、消費者向けの開発を重視しており、産業チェーンの後押しや巨大市場の優位性がある。彭健鋒氏もこの点を肯定しながら、「VRの普及はコンシューマー向けから始まる」と述べる。プレゼンス・キャピタルのファウンダー兼マネージングパートナーであるAmitt Mahajan氏は、ゲーム分野が最も稼ぎやすい分野だと指摘する。「VR分野で巨額の利益を出しているグループは依然としてゲーム企業だ。VRはパソコンのニーズが高く、ゲームパソコンの比較的短い更新周期がVRの発展に大きな促進作用をもたらすだろう」。

 

(人民網日本語版)

 

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VR体験店の7割が赤字状態 産業化への道遠く

新華網日本語 2017-01-10 14:34:40

 

  2016年は中国のVR元年と言われてきた。次々と資本を呼び込み、広州や深圳の街角ではVR体験店が増えた。しかし最近発表された「中国VR体験店の現状白書」によると、3000店あるVR体験店のうち、2016年に利益を出せたのは3割に満たなかったという。業界筋の多くは、VRコンシューマー市場の臨界点が来るのはまだ先のことだと考えている。

 メガネあるいはヘルメットを装着するだけでバーチャルな世界に入り込むことができる。人々を魅了する想像空間と幅広い応用性から、VR産業はIT業界や資本家を惹きつけてきた。2016年、中国では百度、アリババ、テンセントが相次いで参入すると同時に、上場企業の60社以上がVR業界への参入を宣言した。 2015年から2016年初までは熱い注目を集めたVRだったが、昨年5月以降になると資本流入に急ブレーキがかかった。国内著名VR企業の「Alfa Real」と「Miidol」の給与未払いが明らかになり、「Mojing」もリストラを余儀なくされた。「以前はVRと言えば誰もが乗り気になった。今では電話でVRの投資について話すと、“今忙しいからそれはまた明日話そう”と言われるようになった」と、「VRseen」の孫静CEOは恨めしそうに話す。シンクタンク「易観」のシニアアナリストである趙子明氏は取材に対し、VR業界は冬の時代に入ったわけではなく、市場が成長する前段階で過度にVRに肩入れする人がいたために、必要以上の高みに上ってしまったのだと説明する。投資家と市場は、いま冷静になりつつある。市場が理性を取り戻すことはVR業界にとって悪いことではない。

  中国は産業チェーンの基礎を持っている

  中国でVR産業は、国家戦略の1つに格上げされている。2016年3月に発表された第13次五カ年計画では、VRを含む新産業のイノベーションと産業化を重点的に支援し、成長エンジンにするとしている。 2016年4月、工業情報化部電子技術標準化研究院は「VR産業発展白書5.0」を発表し、研究面からVR産業の重要性を述べている。政策の後押しの下、VR産業連盟は様々な場所でVR産業検討会やフォーラムを活発に開催している。 中国電子映像業界協会の彭健鋒副秘書長は、中国のVR産業で必要な産業チェーンについて、「現在、世界で新たに増加する半導体ディスプレーの生産は基本的に中国大陸に集中している。2017年末までに中国大陸で28本の液晶パネルのラインが生産される。うち8.6代以上の次世代ラインは11本。中国の生産は世界一になる可能性が高い」と語る。 また同氏は、「後発者優位により、中国での新規投資は新技術製品に集中している。中国は完全に今後の大パネル化やVR普及のニーズをおさえている。同時にVR一体機も、中国の持つ大きな製造能力と産業チェーンの調整力ですぐにコストを下げることができる」と述べる。趙子明氏も、「中国のVR産業チェーンの基礎は厚い。ハイテク設備にはやや高い技術的ハードルがあり、追いつくのには時間がかかるが、そう遠いことではない」と話す。

  産業化までにはまだ時間がかかる

  未来研究者のケビン・ケリー氏は広州での取材に対し、10年後にはVRプラットフォームがスマホに取って代わると予言した。業界の遠大な見通しは未来を確かなものにするが、現在の技術の産業化、応用化にはまだまだ時間がかかる。現在の商品も予想ほどのものになっていない。 業界構造から見ると、中国のVR分野にはスタートアップ企業が無数に存在する。しかしパクリ主義や楽な仕事に走る人々も少なくない。これが顧客ニーズを満たせない根源になっている。「爆風集団」の馮鑫坦CEOは、「VR業界は現在、3つの技術的問題を早急に解決する必要がある。まず困難な仕事を避けないこと。VRメガネは約500グラムだが重すぎる。次にVRは解像度の問題を解決すべきだ。第三に技術問題は頭が痛いものであることだ」。 彭健鋒氏は取材に対し、「最大の問題は基礎研究と量産開発の間にある研究開発が少ないことだ。多くの技術的問題を解決しないまま製品にしている」と話す。

  専門家「娯楽ゲーム分野でならVRは稼げる」 彭健鋒氏は取材に対し、「VRの産業化は問題ではない。技術革新によって爆発的ブームを起こすことができる」と話す。 アメリカと比較すると、中国企業は独自技術開発ではやや弱いが、消費者向けの開発を重視しており、産業チェーンの後押しや巨大市場の優位性がある。彭健鋒氏もこの点を肯定しながら、「VRの普及はコンシューマー向けから始まる」と述べる。プレゼンス・キャピタルのファウンダー兼マネージングパートナーであるAmitt Mahajan氏は、ゲーム分野が最も稼ぎやすい分野だと指摘する。「VR分野で巨額の利益を出しているグループは依然としてゲーム企業だ。VRはパソコンのニーズが高く、ゲームパソコンの比較的短い更新周期がVRの発展に大きな促進作用をもたらすだろう」。

 

(人民網日本語版)

 

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