デパートの外国人向けの売り上げは、4、5月と連続で前年同月比マイナスと、爆買いの減速が鮮明になっている。高島屋は化粧品の売り上げが好調な一方で、高級ブランド品や宝飾品など高額商品の売り上げが落ちている。NHKが伝えた。
日本百貨店協会のまとめによると、全国の主なデパート84店舗の外国人旅行者向けの売り上げを示す免税売り上げは、5月は計134億8000万円と前年同月を16.6%下回った。3年3か月ぶりに減少に転じた4月に続いて、2か月連続のマイナス。
5月に買い物をした外国人客の数はおよそ23万人と、前年同月比で12.7%増えた一方、1人当たりの買い物額はおよそ5万7000円で、26%の大幅減となっている。
日本百貨店協会の近内哲也専務理事は「日本を訪れたことのあるリピーターが増え、買い物はこれまでよりも低価格の商品にシフトしている。売り上げの減少傾向は当面続くと見ている」と話す。
爆買いが減速した主因は、まず円高だ。以前よりも日本での買い物に割安感が失われた。
2点目が中国政府による課税強化だ。中国政府は今年4月から、海外の商品を中国に持ち込む際の税金の税率を引き上げた。例えば、高級腕時計の税率を30%から60%に引き上げた。インターネットを使って外国の商品を買った場合も、新たに消費税と付加価値税を納めるよう義務づけられたほか、個人の買い物でも一定額を超えると通常の貿易と同じ関税などが適用される。
3点目は中間層の増加だ。観光庁によると、今年1 3月までに訪れた中国人旅行者は前年同期の1.6倍。一方で、1人当たりの支出は12%減。観光庁は、日本を訪れている中国人客が富裕層だけでなく中間層にも広がり、1人当たりの支出が減ったとみられるとしている。
爆買いの減速にどう対応していくのか。これまで免税カウンターの設置など、外国人旅行者の買い物を便利にする取り組みに力を入れてきたデパート各社は、旅行者を呼び込むため攻めの対策に相次いで乗り出している。
例えばそごう 西武は6月15日から、商品を紹介する中国語のサイトを新設。日本メーカーのお菓子や酒、タオルや皿の雑貨など、人気の商品16点を詳しい説明を加えて紹介している。さらに利用者が5億人を超える中国版ツイッターのウェイボーとリンクさせ、デパートの独自の商品を事前に理解できるようにした。
新宿高島屋は、外国人観光客向けに店舗の売り場案内などを自動で通知する取り組みを、6月28日から始めた。外国人旅行者が空港に到着したり、店舗に近づいたりした際に、専用のアプリを入れたスマートフォンに中国語や英語など4か国語で店舗紹介を自動で送る。また店内では、訪れたフロアの売り場情報や割引クーポンなどを送る。
日本国内の消費が低迷するなか、外国人旅行者は日本小売業の救世主になっている。そのため小売業者は外国人旅行者の動向に注目し、積極的に観光客を呼びこむことで、消費を刺激しようとしている。
(チャイナネット)
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