【新華社北京8月20日】「世界ロボット大会2018」は15~19日、中国北京市にある亦創国際コンベンションセンターで開催された。大会に出席する日本ロボット学会副会長を務める大阪大学の浅田稔教授は17日、新華社の単独インタビューに応じ、人工知能(AI)やロボット産業の発展は高齢化社会で物理的、精神的支援を提供し、将来的には高齢化問題の解決を後押しすると述べた。
浅田氏は長年にわたり認知発達ロボティクスの研究を行っている。浅田氏によるとロボットも人間と同じように認知能力を発達させることができ、アクションと心のようなものを持ち、心の通じたコミュニケーションができるようになるという。そのような機能を備えたロボットが実用化される可能性の高い分野について浅田氏は、高齢化社会を迎えた日本では一人暮らしや田舎暮らしの高齢者が増えており、それらの人びとの間のコミュニケーション問題を解決するためにロボットが必要とされていると指摘。AIとロボット産業の発展は高齢者に物理的、精神的支援を提供することが可能と述べた。
また、中日両国のAIとロボット産業分野での協力の展望について浅田氏は、今回の世界ロボット大会に日本のファナックや日本の安川電機と中国の首鋼集団との合弁による安川首鋼機器人などの企業が参加していることに触れ、生産拠点としての中国は日本とのつながりも深く、特に中国では多くの人がAIを利用していると指摘。日本と中国は現在、互いを競争相手とする部分もあるが、将来的には意思疎通と協力が必要だと述べた。
AI分野での両国協力の具体的な可能性について浅田氏は、ビッグデータとセキュリティの2分野を挙げた。中国はビッグデータが集まっており、その技術も飛躍的に進化していると指摘。セキュリティ分野では、日本が2020年の東京五輪で中国の技術を利用し、テロ対策などで提携することも考えられると語った。
浅田氏はヒトと認知発達ロボットとの関係について「ロボットは戦う相手ではなく共生相手となる。最終的にはヒトとロボットによる相互浸透的な関係が社会を構築していく」と述べた。(記者/馬悦、岳晨星)
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