【新華社北京8月9日】中国科学院国家天文台を中心とする科学研究チームはこのほど、広視野撮像を可能とした「郭守敬望遠鏡」(LAMOST)によって、ある珍しい天体を発見した。リチウム(Li)含有量が同種の天体の3千倍という、現在人類が知る中で同含有量が最も高い恒星で、国際学術ジャーナル「ネイチャー・アストロノミー」が7日、電子版で発表した。
リチウムはビッグバンや星間物質、恒星をつなぐ鍵となる元素で、宇宙と恒星におけるリチウムの進化は、かねてより天文分野の重要課題となっていた。しかし現代の天文学ではまだ、リチウムについてごく限られた範囲しかわかっていない。リチウムを豊富に含む巨星は、リチウムの起源と進化を解明する上で重要な意義を持つが、それ自体が珍しい存在で、これまで30年余りの間に天文学者が発見したリチウム含有量が豊富な天体はごくわずかとなっている。
LAMOSTとスカイサーベイ計画の展開により、膨大な恒星分光観測能力が天文基礎研究において次第に力を発揮し、今回の発見で極めて重要な役割を果たした。今回発見されたリチウム含有量が豊富な恒星は、銀河系の中心付近にあるへびつかい座の方向から来ており、銀河系円盤面以北に位置し、地球との距離は約4500光年だという。
国家天文台の閆宏亮博士と趙剛、施建栄両研究員は今回の重要な発見を受け、中国原子能科学研究院、北京師範大学など高等研究教育機関の科学者と協力し、この珍しい恒星についてより深い研究を行った。結果、同恒星のリチウムは恒星内部のある特殊な物質の交換過程で生成された可能性があると発見した。米国の惑星自動追跡望遠鏡(APF)の高解像度分光画像と中国原子能科学研究院の最新原子データを合わせ、恒星内部の経てきた変化を模擬再現することで、この恒星のリチウム含有量についての合理的な説明を導き出した。本発見は天体中のリチウム含有量についての人類の認識を変え、国際的なリチウム含有量観測の限界点を倍のレベルに引き上げた。同時に、この研究は理論上、リチウム合成と既存の恒星進化論に独自の新たな視点を提起した。
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