【新華社天津7月31日】中国天津市の濱海新区が設置する開発区にある国家スパコン天津センターがこのほど明らかにしたところによると、同センターでは中国が独自に開発する100京(けい)級の次世代スパコン「天河3号」E級プロトタイプの開発と組立てが完了し、各種検収も無事通過したという。「天河3号」は今回のプロトタイプを基にさらに開発が進められ2020年の完成を見込む。
▽挑戦を続け新たな技術の高みに到達
100京級スパコンはE級スパコンとも呼ばれ、その開発計画は現在、世界のハイエンド情報技術の革新と競争の最高到達点とされている。米国と日本もすでにE級スパコンの開発計画を発表しており、2020年以降の開発完了を見込む。
中国では、国防科技大学や国家スパコン天津センターなどが「天河3号E級スパコンプロトタイプ」の開発プロジェクトを担当しており、コア技術での2年余りの挑戦と突破を経てプロトタイプの研究開発に成功、国家スパコン天津センターでの組立てが完了した
▽技術革新により自律制御システムを開発
国家スパコン天津センターの劉光明主任は「数十年の蓄積と不断の技術革新により『天河』スパコンのコア技術で全体的な自律制御システムの開発に成功した」と述べた。開発チームはプロジェクトの過程で、アクセラレータ「邁創」(Matrix-2000+)、高速インターコネクト、インターフェース制御の3種類のチップを独自に設計開発した。また4種類のコンピューティング、メモリとサーバーのノード、十余りのプリント基板を設計し、計算処理や高速インターコネクト、並列記憶、サーバー処理、監視制御、基礎構造などの新型のハードウェアとシステムオペレーションや並行開発、応用支援、総合管理などのソフトウェアを設計開発した。
全面的な技術革新により、今回のプロトタイプは科学計算とデータ処理の多角的応用のニーズに柔軟に対応可能なシステム構造を実現。計算、メモリ、通信の3側面でバランスの取れた高性能計算ノード技術、十万ノードの規模での高速インターコネクトと光電混合高速信号伝送技術、高効率放熱冷却技術、ユーザーに透明性の高い高性能計算環境の支援ソフトなどの技術的飛躍を実現した。
▽応用が多くの分野での進展を加速
劉氏によると、卓越した性能を持つ中国次世代スパコンは、中国の高性能計算の能力問題解決に役立ち、中国の国民経済や科学研究などの分野の挑戦的な問題の解決で、他では得られない重要な技術を提供することになるという。
国家スパコン天津センターの孟祥飛・応用研究開発部長は、「天河3号」を用い、将来的にはスパコンやクラウドコンピューティング、ビッグデータ、人工知能を高いレベルで融合した高性能コンピューティングプラットフォームを構築していくと語る。長期的な高精度気象予報や大規模な航空宇宙風洞データ処理、地震地質研究、石油・天然ガス探査、脳科学と遺伝子工学等の一連の超大規模計算とシミュレーションや国家の経済と国民生活、情報セキュリティ上の政策データ、医療衛生、遺伝子健康など大規模なデータ分析処理を必要とする分野で、支援とプラットフォームとしての機能を発揮していくという。
当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。
推薦記事