【新華社東京7月17日】中国南部や東南アジアなどで栽培される浮稲(うきいね)というイネの品種群は、毎年雨季になり水田の水位が上がると、茎や葉の先端が急速に水面に伸びて、水没を回避する。ある国際研究チームが先日、米科学誌「サイエンス」オンライン版にレポートを発表し、浮稲の特殊な成長メカニズムを解明したと公表した。
植物の生存は水と不可分だが、大洪水が起きると多くの植物が水没して死んでしまう。ところが浮稲は、「水が来たら育つ」という特殊な水害適応力を持っている。雨季と洪水の際には急速に数メートルも伸長し、茎や葉の先端部を水面に出す。このユニークな特性が、科学者の興味を引いた。
日本の名古屋大学や理化学研究所などの機関が参加したこの研究で、ある特殊な遺伝子、半矮性遺伝子(はんわいせいいでんし)SD1が、このプロセスで鍵となる働きをしていることが分かった。洪水で浮稲が水没すると、この遺伝子の働きにより、浮稲は大量のSD1タンパク質を作り出す。この種のタンパク質には植物ホルモンのジベレリンを合成する機能があり、ジベレリンは植物の苗を伸長させる。
普通の水稲もこの種のタンパク質を持っているが、浮稲のSD1タンパク質がジベレリンを合成する機能ははるかに活発で、より強力に苗の成長を促すことができる。
数千年の歴史の中で、浮稲はこのような独特の能力を進化させ、雨と洪水の多い環境に適応してきた。近年、世界各地で異常気象が頻発していることから、研究チームでは、この研究成果は科学界でより収穫量の多い浮稲を研究開発する助けとなるのに加え、異なる環境に適応する水稲育種技術の研究開発にも応用できると考えている。(記者/華義)
当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。
推薦記事: