【新華社ワシントン６月６日】世界銀行がこのほど発表した世界経済見通しは、今年と来年の世界経済成長率予想を維持したものの、貿易保護主義の台頭が世界経済に大きな下振れリスクをもたらすと警鐘を鳴らした。中でも発展途上国への影響が先進国より格段に深刻と指摘、各国に連鎖することを警戒した。
報告書は今年と来年の世界経済成長率をそれぞれ３・１％、３％と予測し、世銀が今年１月に発表した予測と一致。先進国の中央銀行による貨幣刺激策の撤廃に伴い、世銀は先進国の今年と来年の経済成長率をそれぞれ２・２％と２％と予測した。大口商品の輸入国が立ち直っており、大口商品価格が今年、上昇後に安定化することで、世銀は新興市場と発展途上国の今年の経済成長率を４・５％、来年を４・８％と予測した。
中国消費の強気の成長や個人固定資産投資の回復、旺盛な内需を受け、世銀は今年の中国経済成長率を６・５％と、１月の予測より０・１ポイント上方修正し、来年の成長率の予測は依然として６・３％を維持。 報告書はまた、金融市場の乱高下に対する不安感が高まり、一部の新興市場と発展途上国の変動への対処に脆弱性が増すことで、世界経済は大きな下振れリスクに直面しているとした。
報告書は、貿易保護主義の台頭は新興市場と発展途上国への影響が先進国より格段に深刻と指摘。農業、食品加工など過度な保護を受けた業界が最もインパクトを受けやすいとし、非関税障壁の増加も国境を越える貿易コストの上昇を招くと述べた。
また、報告書は、中米貿易摩擦の激化が現実になれば、両国の経済に損失をもたらし、しかもグローバル・バリューチェーン（国際的な価値連鎖）を通じ取引コストを引き上げると指摘。両国経済への損失も貿易、信頼感、金融、大口商品市場などのルートを経由して世界経済に悪影響を及ぼすとみられるとした。
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