【新華社ワシントン3月4日】中国の科学者が摂氏マイナス70度でも使用できるリチウム電池を開発した。将来的に地球の極寒地域や、さらには宇宙での使用が期待される。
研究成果は、米国のエネルギー学術誌「Joule」の最新号に発表された。復旦大学の夏永姚チームが開発した新たな電池は、凝固点が低く極端な低温条件下でも電子の伝導が可能な酢酸エチルを電解液とし、二種類の有機化合物をそれぞれPTPAn陰極とPNTCDA陽極という電極として使用している。
電解液はイオンが2つの電極間を移動する際の化学溶媒だが、低温条件下では電解液―電極界面における電気化学反応の持続は難しい。
研究者は、これまでのリチウム電池で使用されてきた電極と違い、この電極で使用されている有機化合物は、ドープ・プロセスと呼ばれるリチウムイオンが電極の分子配列にはまり込む過程が不要なため、低温条件下でドープ・プロセスが遅くなるのを避けることができたと説明した。
酢酸エチル電解液と有機高分子電極を用いることで、摂氏マイナス70度という超低温条件下でも動作可能な充電式電池が完成した。
夏氏は、従来のリチウム電池と比べ、新たな電池の電極材料は十分にあり、安価かつエコであるため、材料価格は約三分の一になると予想している。
しかし商品化には、質量当たりのエネルギーが従来のリチウム電池に劣っており、生産過程の改善が必要という。とはいえ夏氏は、この電池の応用に大きな潜在能力があると考えている。
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