:
着実に対外開放が進む中国の金融業
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-02-26 15:54:43 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社上海2月26日】2017年に行われた金融機関における外資持株比率の規制緩和に続き、新年早々、中国は外資系銀行の業務範囲や市場参入などの分野でもさらなる規制緩和策を打ち出した。

  中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は24日、改正後の「中国銀監会外資銀行行政許可事項実施弁法」を発表した。改正では外資系銀行の投資・設立、中国国内の銀行業金融機関への出資に際しての許可条件、複数業務に対する審査認可の廃止、中国資本の銀行と外資系銀行の市場参入基準の統一などに関する追加が行われた。

  これについて、上海財経大学現代金融研究センターの丁剣平主任は、「この新たな開放政策は、対外開放の拡大を堅持するという中国の方針を具体的に示したもの。中国資本の銀行と外資系銀行の市場参入基準を徐々に統一していくことは、外資系銀行が『国民待遇』を徐々に受けられるようになることを意味する。両者は中国国内市場において公平に競争することになる」との見方を示した。

  交通銀行金融センターの葛鵬研究員の説明によると、「中国は2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟後、外資系金融機関の設立形式の規制や地域の規制、業務範囲の規制を徐々に緩和し、中国の金融業に対する外資の持株比率の上限も大幅に引き上げた。これに先立ち、在中外資系銀行の国債受託販売業務、ファイナンシャルアドバイザリー業務、大部分の信託業務の規制も緩和している」という。

  中国大陸部初の外資(香港資本)系持株合弁証券会社として、香港上海銀行(HSBC)が51%の株式を保有し、深圳市の前海金融持株有限公司が49%の株式を保有する匯豊前海証券有限責任公司が昨年12月に開業した。同社はすでに関連のライセンスを取得しており、中国大陸部の上場株の分析と仲介、株式・社債発行の受託と保証・推薦、中国大陸部と海外企業のクロスボーダーM&Aに関するコンサルティングに従事することができる。

  HSBC(中国)有限公司の甘炳亮常務副頭取兼副最高経営責任者(CEO)は、「この合弁会社の誕生はまさに中国の安定、持続的な経済のモデルチェンジとグレードアップ、金融改革の深化、多層的な金融体系の発展、より透明で開放的な資本市場構築の恩恵によるものだ」との見解を示している。

  改正後の「弁法」では、外資系銀行の▽海外での資産運用代行▽海外での投資信託代行▽証券投資基金信託業務▽清算させられた外資系金融機関からの有利子資産の回収、という四つの業務に対する審査認可が廃止された。業界関係者からは、手続きが簡略化されることにより、業務展開の利便性が増すとの期待が寄せられている。これは中国大陸部以外の金融機関にとってプラスになるだけでなく、中国大陸部に進出して経済・貿易・投資業務を展開する外資系企業にとってもプラスになると見られている。

  「外資系銀行には中国で貿易、投資活動をしている顧客も多い。外資系銀行業務の規制緩和に伴い、こうした顧客もよりよい金融サービスが受けられるようになるだろう。金融の対外開放は、内外の経済・貿易・投資の往来を一段と促進するものと期待している」と丁主任は話している。

  外資系銀行は中国金融市場の重要な構成要素である。例えば上海では、銀監会上海監管局が24日に発表したデータによると、2017年末現在の上海の外資系銀行資産総額は前年比13%増の1兆5600億元(1元=約17円)で、伸び率は過去5年の最高を記録している。外資系銀行の保有資産が上海の銀行業全体に占める割合は10・6%に達し、資産の質も引き続き安定している。

  中国財政部は昨年11月、中国資本の銀行と金融資産管理会社に対する外資の持株比率が単独で20%未満、合計で25%未満という規制を廃止し、中国資本の銀行と外資系銀行の出資比率に対する規制を統一させるとの方針を示した。昨年12月には、銀監会が「今後も引き続き中国銀行業の対外開放を推進していく。外資系銀行のビジネスモデルに選択肢が増え、経営空間が広がり、監視・監督ルールの最適化によって外資系銀行が経営の優位性を発揮できるよう導いていく」ことを明らかにした。

  中航証券のアナリスト、符暘氏は「開放拡大のためのこうした措置によって、経営管理面における外資の発言権がある程度強まり、積極的かつ自発的な投資を促すことになるだろう」との見方を示す。

  シティバンク(中国)最高経営責任者(CEO)の林鈺華氏は、「中国金融市場のさらなる開放のためのタイムスケジュールとロードマップのおかげで、在中外資系金融機関は今後の経営戦略が立てやすくなる。中国資本の金融機関との提携、ライセンスの取得や『国民待遇』を受けるタイミングが計りやすくなる」と評価している。

  市場からは、2018年に中国銀行業の対外開放がさらに進むとの期待が寄せられている。葛研究員は「中国はこれからも外資系銀行の経営空間を拡大させ、外資系銀行に対する監督・管理ルールを最適化し、金融体系を活性化させるだろう」と話している。

  中信証券の分析レポートは「競争は激化するものの、中国資本の銀行にとっても外資系金融機関との提携による海外進出や国際化が期待できる」との見方を示している。

  林CEOは「中国金融市場のさらなる開放に伴って資本勘定の開放が進み、税収の優位性が高まり、世界中の資金が集まって来る。ネットワークの安全性を強化すると同時に個人情報の保護や国際技術標準との整合性なども考慮する必要がある。外資系金融機関の市場参入や業務拡大の機会は広がり、内外の顧客により良いサービスを提供できるようになる」と期待感を示した。

  甘副頭取は「わが行は今後もクロスボーダーの優位性と海外の自由貿易港での経験を生かして、自由貿易港の模索と建設を積極的に支援していく」と話している。(記者/陳愛平 桑彤)

 

  当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

推薦記事:

金融の専門家、グリーン経済の持続可能な発展への対策を提言

新華網日本語

着実に対外開放が進む中国の金融業

新華網日本語 2018-02-26 15:54:43

  【新華社上海2月26日】2017年に行われた金融機関における外資持株比率の規制緩和に続き、新年早々、中国は外資系銀行の業務範囲や市場参入などの分野でもさらなる規制緩和策を打ち出した。

  中国銀行業監督管理委員会(銀監会)は24日、改正後の「中国銀監会外資銀行行政許可事項実施弁法」を発表した。改正では外資系銀行の投資・設立、中国国内の銀行業金融機関への出資に際しての許可条件、複数業務に対する審査認可の廃止、中国資本の銀行と外資系銀行の市場参入基準の統一などに関する追加が行われた。

  これについて、上海財経大学現代金融研究センターの丁剣平主任は、「この新たな開放政策は、対外開放の拡大を堅持するという中国の方針を具体的に示したもの。中国資本の銀行と外資系銀行の市場参入基準を徐々に統一していくことは、外資系銀行が『国民待遇』を徐々に受けられるようになることを意味する。両者は中国国内市場において公平に競争することになる」との見方を示した。

  交通銀行金融センターの葛鵬研究員の説明によると、「中国は2001年にWTO(世界貿易機関)に加盟後、外資系金融機関の設立形式の規制や地域の規制、業務範囲の規制を徐々に緩和し、中国の金融業に対する外資の持株比率の上限も大幅に引き上げた。これに先立ち、在中外資系銀行の国債受託販売業務、ファイナンシャルアドバイザリー業務、大部分の信託業務の規制も緩和している」という。

  中国大陸部初の外資(香港資本)系持株合弁証券会社として、香港上海銀行(HSBC)が51%の株式を保有し、深圳市の前海金融持株有限公司が49%の株式を保有する匯豊前海証券有限責任公司が昨年12月に開業した。同社はすでに関連のライセンスを取得しており、中国大陸部の上場株の分析と仲介、株式・社債発行の受託と保証・推薦、中国大陸部と海外企業のクロスボーダーM&Aに関するコンサルティングに従事することができる。

  HSBC(中国)有限公司の甘炳亮常務副頭取兼副最高経営責任者(CEO)は、「この合弁会社の誕生はまさに中国の安定、持続的な経済のモデルチェンジとグレードアップ、金融改革の深化、多層的な金融体系の発展、より透明で開放的な資本市場構築の恩恵によるものだ」との見解を示している。

  改正後の「弁法」では、外資系銀行の▽海外での資産運用代行▽海外での投資信託代行▽証券投資基金信託業務▽清算させられた外資系金融機関からの有利子資産の回収、という四つの業務に対する審査認可が廃止された。業界関係者からは、手続きが簡略化されることにより、業務展開の利便性が増すとの期待が寄せられている。これは中国大陸部以外の金融機関にとってプラスになるだけでなく、中国大陸部に進出して経済・貿易・投資業務を展開する外資系企業にとってもプラスになると見られている。

  「外資系銀行には中国で貿易、投資活動をしている顧客も多い。外資系銀行業務の規制緩和に伴い、こうした顧客もよりよい金融サービスが受けられるようになるだろう。金融の対外開放は、内外の経済・貿易・投資の往来を一段と促進するものと期待している」と丁主任は話している。

  外資系銀行は中国金融市場の重要な構成要素である。例えば上海では、銀監会上海監管局が24日に発表したデータによると、2017年末現在の上海の外資系銀行資産総額は前年比13%増の1兆5600億元(1元=約17円)で、伸び率は過去5年の最高を記録している。外資系銀行の保有資産が上海の銀行業全体に占める割合は10・6%に達し、資産の質も引き続き安定している。

  中国財政部は昨年11月、中国資本の銀行と金融資産管理会社に対する外資の持株比率が単独で20%未満、合計で25%未満という規制を廃止し、中国資本の銀行と外資系銀行の出資比率に対する規制を統一させるとの方針を示した。昨年12月には、銀監会が「今後も引き続き中国銀行業の対外開放を推進していく。外資系銀行のビジネスモデルに選択肢が増え、経営空間が広がり、監視・監督ルールの最適化によって外資系銀行が経営の優位性を発揮できるよう導いていく」ことを明らかにした。

  中航証券のアナリスト、符暘氏は「開放拡大のためのこうした措置によって、経営管理面における外資の発言権がある程度強まり、積極的かつ自発的な投資を促すことになるだろう」との見方を示す。

  シティバンク(中国)最高経営責任者(CEO)の林鈺華氏は、「中国金融市場のさらなる開放のためのタイムスケジュールとロードマップのおかげで、在中外資系金融機関は今後の経営戦略が立てやすくなる。中国資本の金融機関との提携、ライセンスの取得や『国民待遇』を受けるタイミングが計りやすくなる」と評価している。

  市場からは、2018年に中国銀行業の対外開放がさらに進むとの期待が寄せられている。葛研究員は「中国はこれからも外資系銀行の経営空間を拡大させ、外資系銀行に対する監督・管理ルールを最適化し、金融体系を活性化させるだろう」と話している。

  中信証券の分析レポートは「競争は激化するものの、中国資本の銀行にとっても外資系金融機関との提携による海外進出や国際化が期待できる」との見方を示している。

  林CEOは「中国金融市場のさらなる開放に伴って資本勘定の開放が進み、税収の優位性が高まり、世界中の資金が集まって来る。ネットワークの安全性を強化すると同時に個人情報の保護や国際技術標準との整合性なども考慮する必要がある。外資系金融機関の市場参入や業務拡大の機会は広がり、内外の顧客により良いサービスを提供できるようになる」と期待感を示した。

  甘副頭取は「わが行は今後もクロスボーダーの優位性と海外の自由貿易港での経験を生かして、自由貿易港の模索と建設を積極的に支援していく」と話している。(記者/陳愛平 桑彤)

 

  当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。

推薦記事:

金融の専門家、グリーン経済の持続可能な発展への対策を提言

010020030360000000000000011100381370010531