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郷愁の「年画」を伝える農村画家 独学で技を習得
jp.xinhuanet.com | 発表時間 2018-02-23 15:06:03 | 新華社 | 編集: 王珊寧

  【新華社長沙2月23日】中国の旧正月の伝統的な飾り「年画」は、新しい年の象徴の一つと考えられてきた。だがそんな年画を見かけることはどこでも少なくなり、年画の誘う郷愁を味わう機会もまれとなっている。  

  湖南省郴(チン)州市蘇仙区許家洞鎮の株梓塘村ではこの春節、多くの村民の家で年画が飾られた。69歳の農村画家、胡久韶さんが美しい筆さばきで生き生きと描いた年画は、同郷の人たちの記憶の奥深くにあるノスタルジーを呼び覚ましている。

  胡さんのアトリエで真剣に絵を見比べていた何絲さんは、「年年有余」「生龍活虎」「節節高昇」などがテーマの年画5枚を選んだ。「胡さんの年画の話はかねがね聞いていたが、実に美しくしかもリーズナブルで、明るい寓意に満ちている。家に飾れば年越しのムードが高まること間違いなしだ。ここまでやって来る価値は大いにあった」と何さんは言う。

  胡さんの年画の多くは、庶民に好まれている神話や伝説、草花や人物、魚、虫、鳥、獣などが題材になっている。細かく生き生きとした描写と鮮やかな色彩によって描かれた年画は、風習にこめられた福にあずかりたいという人々の思いに重点が置かれ、郷土の香りに満ちている。胡さんの年画はすでに、省内の衡陽市や広東省の韶関市など周辺の都市まで売られるようになり、広く喜ばれている。

  「今年は戌(いぬ)年なので、犬を扱った年画を特に描いている。数日前には、衡陽市から来た陳さんが、金色の犬を描いた年賀を選んでいった」。胡さんは、自分は商売ではなく趣味で年画を描いているのだと話す。絵を気に入ってくれて、でも買うお金がないという人には、プレゼントする気持ちで渡しているのだという。

  昨年、蘇仙区馬頭嶺中学の美術教師として招聘された胡さんは、精力の多くを学校教育上に注ぐことになり、販売用の年画は例年よりもやや少なくなった。一年余りで描いた100枚近い年画のうち20枚余りが売れ、20枚余りをプレゼントした。残りの多くは教育用または自分で鑑賞するためのものだ。

  1949年生まれの胡さんは農家で生まれ育ち、13歳で年画の独学を始めた。家は貧しく先生に教わるお金はなく、模倣と観察によって自らその才能を磨いていった。竹を上手に描くために、いつも自宅近くの竹林でしゃがみこんで竹の様子を観察し、模写していたという。また虎を上手に描くために広東省の動物園まで虎を見に行ったこともある。数十年間こうして農作業の傍ら絵を描き続けているが、30歳を過ぎた頃には地元でちょっとした有名年画家になっていた。

  これまでに胡さんが描いた年画の数は数え切れない。弟子も10人余りいる。二人の娘も父親の影響で絵画の道に進んだ。次女の胡琴さんは、郴州市の中心部でギャラリーを開いており、父が描いた年画がメインを陣取り、ギャラリーの名物になっている。  

 「年画の価格は高くないかもしれないし、若い人もそれほど好きじゃないかもしれない。でも私はこの伝統技能を残していくことにこそ最大の価値があると思っている」と語る胡さん。伝統的な年画と現代アートを結びつけ、年画を一般の人の生活にさらに浸透させようという計画もある。より多くの人に年画を知ってもらい、愛してもらうことが胡さんの望みだ。(記者/陳文広)

 

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郷愁の「年画」を伝える農村画家 独学で技を習得

新華網日本語 2018-02-23 15:06:03

  【新華社長沙2月23日】中国の旧正月の伝統的な飾り「年画」は、新しい年の象徴の一つと考えられてきた。だがそんな年画を見かけることはどこでも少なくなり、年画の誘う郷愁を味わう機会もまれとなっている。  

  湖南省郴(チン)州市蘇仙区許家洞鎮の株梓塘村ではこの春節、多くの村民の家で年画が飾られた。69歳の農村画家、胡久韶さんが美しい筆さばきで生き生きと描いた年画は、同郷の人たちの記憶の奥深くにあるノスタルジーを呼び覚ましている。

  胡さんのアトリエで真剣に絵を見比べていた何絲さんは、「年年有余」「生龍活虎」「節節高昇」などがテーマの年画5枚を選んだ。「胡さんの年画の話はかねがね聞いていたが、実に美しくしかもリーズナブルで、明るい寓意に満ちている。家に飾れば年越しのムードが高まること間違いなしだ。ここまでやって来る価値は大いにあった」と何さんは言う。

  胡さんの年画の多くは、庶民に好まれている神話や伝説、草花や人物、魚、虫、鳥、獣などが題材になっている。細かく生き生きとした描写と鮮やかな色彩によって描かれた年画は、風習にこめられた福にあずかりたいという人々の思いに重点が置かれ、郷土の香りに満ちている。胡さんの年画はすでに、省内の衡陽市や広東省の韶関市など周辺の都市まで売られるようになり、広く喜ばれている。

  「今年は戌(いぬ)年なので、犬を扱った年画を特に描いている。数日前には、衡陽市から来た陳さんが、金色の犬を描いた年賀を選んでいった」。胡さんは、自分は商売ではなく趣味で年画を描いているのだと話す。絵を気に入ってくれて、でも買うお金がないという人には、プレゼントする気持ちで渡しているのだという。

  昨年、蘇仙区馬頭嶺中学の美術教師として招聘された胡さんは、精力の多くを学校教育上に注ぐことになり、販売用の年画は例年よりもやや少なくなった。一年余りで描いた100枚近い年画のうち20枚余りが売れ、20枚余りをプレゼントした。残りの多くは教育用または自分で鑑賞するためのものだ。

  1949年生まれの胡さんは農家で生まれ育ち、13歳で年画の独学を始めた。家は貧しく先生に教わるお金はなく、模倣と観察によって自らその才能を磨いていった。竹を上手に描くために、いつも自宅近くの竹林でしゃがみこんで竹の様子を観察し、模写していたという。また虎を上手に描くために広東省の動物園まで虎を見に行ったこともある。数十年間こうして農作業の傍ら絵を描き続けているが、30歳を過ぎた頃には地元でちょっとした有名年画家になっていた。

  これまでに胡さんが描いた年画の数は数え切れない。弟子も10人余りいる。二人の娘も父親の影響で絵画の道に進んだ。次女の胡琴さんは、郴州市の中心部でギャラリーを開いており、父が描いた年画がメインを陣取り、ギャラリーの名物になっている。  

 「年画の価格は高くないかもしれないし、若い人もそれほど好きじゃないかもしれない。でも私はこの伝統技能を残していくことにこそ最大の価値があると思っている」と語る胡さん。伝統的な年画と現代アートを結びつけ、年画を一般の人の生活にさらに浸透させようという計画もある。より多くの人に年画を知ってもらい、愛してもらうことが胡さんの望みだ。(記者/陳文広)

 

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