【新華社東京2月13日】日本ではこの数年、多くの百貨店やドラッグストアで、中国のモバイル決済「WeChat Pay」(ウィーチャットペイ/微信支付)と「Alipay」(アリペイ/支付宝)が導入された。中国国内でのモバイル決済の急激な普及がその背景にある。
▽日本旅行:中国での新たなブーム
日本政府観光局(JNTO)によれば、2017年の中国人訪日客数は735万5800人。訪日外客数の中で1番多い。
中国では、日本の街中の漢字表記への親近感や距離の近さから、初めての海外旅行の渡航先として日本を選ぶ人が多い。また日本政府がこの数年、中国人に対するビザ発給要件を緩和し、積極的にプロモーションを行ったことも関係する。
▽中国は世界最大のモバイル決済市場
中国工業・情報化部の张峰チーフ・エンジニアは1月30日、国務院での記者会見で、中国のモバイル決済取引規模が昨年10月末の時点で、約150兆元(約2556兆円)に達し、世界一となったと発表した。
中国でモバイル決済が普及した背景として、中国特有のオンライン決済習慣と交流サイト(SNS)の普及があげられる。中国ではクレジットカードなどによる信用販売が普及せず、代わりに銀行預金から購入代金を直接引き落とすデビットシステムが普及した。与信確認の必要がなく、モバイル決済に求められる技術的要求も高くない。また、中国では現在9億人がメッセージアプリのWeChat(微信/ウィーチャット)を使用しており、同アプリをプラットフォームとして個人と銀行、企業がつながっている。同アプリは日本のLINEと似た機能を持つが、クレジットカードが普及した日本の消費習慣において、WeChat payのようなモバイル決済の普及は難しいだろう。
▽中国のモバイル決済から恩恵受けるには
Alipayは現在、36の国と地域での数十万店舗に導入され、WeChat Payも20の国と地域に対応し、13の通貨での直接決済をサポートする。
中国決済清算協会は、2017年、中国でモバイル決済が使用されるケースとして、生活必需品の購入(98・1%)、映画チケット類の購入(80・6%)、旅行(68・9%)を上位にあげている。ただ、日本に来た中国人は、通常の買い物以外でのモバイル決済の需要もあり、病院の診療費や入場券購入、地下鉄、免税店などで導入されれば、中国人の購買意欲をさらに高めることが出来る。
また、WeChatとAlipayは単なるモバイル決済ツールではなく、SNSツールでもあり、日本での買い物が口コミで広がることで、店舗側は認知度を高めることができる。店舗側は決済手段としての導入はもちろん、PRの面での活用が見込まれる。 ビザの緩和により、多くの中国人を日本に引き寄せることは重要だが、1人ひとりの旅行客の消費を十分に発掘することも大事。その鍵はモバイル決済にある。(胡学良)
当社のコンテンツは著作権法によって保護されます。無断転用、複製、掲載、転載、営利目的の引用は禁じます。
推薦記事