【新華社北京11月17日】米政府はこのほど、ニュース専門チャンネル「ロシア・トゥデイ（ＲＴ）」を「外国エージェント」として登録するなど、米国にあるロシアのメディアに対する締め付けの措置を複数実施した。これに対してロシア連邦下院（ドゥーマ）は１５日、法律を改正し、ロシア司法省がロシアにある外国メディアを「外国エージェント」と認定することを承認した。これにより、米国とロシアのメディア戦争が再び激しくなる見込みだ。
アナリストによると、このメディア戦争はまず米国から始まっており、主要な原因は、「ロシア・トゥデイ」が常に米国の政治や社会問題の課題を指摘することに米政府が不満を示し、これに対して措置をとったことだという。米国はこの措置により世論のコントロールを狙っているが、明らかに米国が吹聴する言論の自由という原則に反している。
中国現代国際関係研究院ロシア問題専門家、陳宇氏は、米国とロシア両国にはイデオロギー分野での争いが長期にわたり存在していると指摘し、近年、メディア産業の発展に伴い、双方の競争はさらに熾烈になっており、特に米国は１６年末からずっと、ロシアメディアが選挙に干渉し、消極的なニュースを煽ったとして非難していると、述べた。
このメディア戦争において、米国は機先を制し、ロシアは真っ向から対決する姿勢を示している。ロシア連邦下院が１５日に法律改正案を可決したことについて、ロシア連邦下院のピョートル・ トルストイ副議長は、ロシアはそもそもこの措置を講じる考えはなく、この法案は、ロシアメディアの海外駐在機関の報道を制限し、『外国エージェント』として登録した国に対応したものであり、海外メディアのロシア駐在機関すべてに対するものではないと、表明した。
「ロシア・トゥデイ」はこのほど、米司法省に「外国エージェント」として登録したことを発表した。「ロシア・トゥデイ」のシモニアン編集長は１３日、刑事訴訟か「外国エージェント」として登録するかのうち、「ロシア・トゥデイ」は「外国エージェント」として登録することを選んだと、述べた。
「外国エージェント」とは、外国政府などの実体を代表して駐在国で遊説活動に従事する機関を指す。米司法省のサイトによると、『外国エージェント登録法』は１９３８年に発表され、第二次世界大戦勃発前に、米国におけるドイツのファシズムの宣伝を抑制することを目的としていた。
この法案に基づき、「外国エージェント」は外国委託者との関係、及び米国での活動と財務収支などの状況を定期的に米国に報告する必要がある。シモニアン編集長は、「米国のこのやり方では、記者が仕事をすることは不可能だ」と述べた。
過去数カ月、一部の米国の議会や情報機関は、「ロシア・トゥデイ」が米大統領選挙を干渉したとして非難してきた。「ロシア・トゥデイ」は何度もこれを否定し、そうした非難には何の根拠もないとの見方を示している。シモニアン編集長は１４日ツイッターで、メディア界に対する哀悼の意を示し、米議会の「ロシア・トゥデイ」への締め付けの行為は、メディアの自由を著しく損なっていると、非難した。
「ロシア・トゥデイ」は「より多くの疑問」を原則に、米国主流メディアから軽視された、又は故意に周縁化された重要な問題を集中的に報道し、ウォール街占拠運動やグアンタナモ収容所のハンストなどの事件の報道で、テレビ版のアカデミー賞とされるエミー賞に何度もノミネートされた。
「ロシア・トゥデイ」の報道は、米国の政治や社会問題の課題を何度も指摘し、一部の米国の政治家からの強い反発を招いている。米連邦上院議員のダイアン・ファインスタイン氏が公聴会に出席した際、「ロシア・トゥデイ」は移民、銃規制、同性愛、人種などの論争となる話題を利用し、過激な意識を煽り、米国社会の分裂を深めていると、述べた。
アナリストは、米国社会の分極化と分裂問題には長い歴史があり、それをすべてメディア報道の責任とすることはできない、「ロシア・トゥデイ」が米国で成功を収めていることは、論争となる問題に対する視聴者の大きな注目をまさしく反映していると、指摘している。
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