囲碁プログラム「AlphaGo」はトップ棋士の柯傑氏を3局全勝で打ち負かした。これは人工知能(AI)発展の歴史における象徴的な出来事だ。人々はこれまで囲碁を、人類の知恵とAIとの戦いで最後の砦としてきたが、この砦は今や攻略されてしまった。人民日報が伝えた。(筆者:華東政法大学・高奇琦教授)
米国はAIで世界トップの地位を占めている。グローバル企業時価総額ランキングは通常、産業の発展の流れを見る重要な指標であり、その国の経済力と世界経済の覇権を調べる重要な指標でもある。21世紀初頭、エネルギー価格がまだ高かったころ、石油会社はグローバル企業時価総額ランキングの上位を占めていた。ところがAI時代の到来により、ランキング最上位数社はいずれも米国のIT企業になっている。これらの企業は現在、AI事業を全面的に展開している。モノのインターネット(IoT)、自動運転、スマート医療などの人工知能の応用シーンに関しても、米国には一連のトップ技術を持つ企業が存在する。この地位は長期的に維持され、さらには独占や覇権の地位を形成しつつある。
その他の先進国では、英国もAI分野の一角をなしている。これはその高等教育の発展水準の高さと関係している。例えばAlphaGoはオックスフォード大学の研究開発チームが開発した。アジアでは日本がロボットやリーン生産などでトップの地位を占めているが、全体的な発展の流れやブランドの面ではリーダーシップに欠ける。
欧州や日本と比べ、中国は世界AI分野の新たな成長源になろうとしている。中国のAI発展には、2つの大きな長所がある。まず中国には巨大な応用市場がある。ある製品が応用段階に進出すれば、中国市場はすぐに大量のデータを蓄積する。AI時代において、データは命、競争力だ。そのため中国は一部の技術分野でリードしていないが、これらの技術をすぐに市場の応用分野に導入することで、データ資源を生成できる。次に、中国には多くの科学研究チームが存在する。中国の科学研究論文の発表数と特許出願件数はいずれも世界上位につけており、高い学習・革新力を示している。多くの科学研究者が近年、AIの発展に目を向けており、将来的にAI技術の相対的に低い地位を向上させる力になるだろう。
中国はすでにAI分野に対し全面的に力を注いでおり、一部の中国企業も海外の大企業と競争している。ただし競争力は現在のところまだ蓄積が必要な段階にある。中国のAI発展を促進するためには、まず規模化が必要だ。海外の大企業と雌雄を決することのできる、グローバルな大企業の育成が必要となる。その一方で、中小企業にも注目しなければならない。企業インキュベータなどの手段により、AI分野のベンチャー企業を生み出す必要もある。またAIの発展には、産学研の融合の強化が必要だ。科学研究部門・科学研究者・企業の長期的な協力メカニズムを構築し、科学研究者と中小企業の革新力を引き出し、これを効果的に結びつける。同時に中国の大規模な応用市場という長所を発揮し、一連の世界トップの科学技術企業の形成を推進していく。
(人民網日本語版)
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