新華網北京5月25日 国際格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、中国のソブリン格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げたと発表した。同社は、中国の経済成長は今後、引き続き鈍化し、政府の債務が増加し、実体経済の債務規模が急増すると判断した。
財政部等の部門はこれに対し、同社が格付けを引き下げたのは、「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)」に基づく不適切な方法で、中国政府の債務等の分野における法律制度の規定に関して、同社には必要な理解が不足しているとの態度を示した。中国経済の「穏中向好(総体的に平穏な中での成長と前進)」の基本的状況は変わっておらず、同社は、中国経済が直面する課題を過大評価している一方、供給側構造改革の深化と全体的需要の適当に総需要を拡大する中国政府の能力を過小評価していると反論した。
中国、今後3年で政府負債率が45%に?財務部:不可能!
ムーディーズの報告によると、中国政府の直接債務額は2018年には国内総生産(GDP)の40%に、2020年には45%に達する見込みだ。
財政部の担当者はこれに対し、2016年末時点で、中国の地方政府の債務残高は15兆3200億元、地方政府債務率(債務残高/総合財力)は80.5%であると回答した。予算管理に組み込まれる中央国債残高の12兆100億元を加えると、政府の債務残高の合計は27兆3300億元となる。国家統計局が発表したGDPの初期値、74兆4100億元に従って計算すると、2016年の中国政府債務の負債率(債務残高/GDP)は36.7%で、欧州連合(EU)の60%という警戒ラインを下回り、主な市場経済国と新興市場国の水準よりも低く、リスクは全体的に制御可能であると言える。
説明が必要な点として、「中華人民共和国予算法」は、地方政府債券の発行は、地方政府が債務を負うことのできる唯一の合法的な形式で、地方政府及びその傘下部門は、これ以外のいかなる方式でも債務を負ってはならないと規定している。このため現在、中国政府の債務とは法的に中央国債、地方政府債券、及び整理選別して認定した2014年末時点で残された非政府債券形式の政府債務を指し、これ以外、中国には政府直接債務は存在していない。
企業のレバレッジ比率は引き続き上昇?発改委:レバレッジ比率引き下げの効果は明らか
ムーディーズの報告は、中国の実体経済の債務規模は急増し、関連改革措置の効果も見られないと判断している。このほか、政府の直接債務のほかにも、地方政府の融資プラットフォームや国有企業等の債務レベルが引き続き増加することにより、政府の債務が増加する可能性があると見込まれている。
国家発展改革委員会(発改委)の財政金融司の担当者によると、企業のレバレッジ比率の積極的かつ着実な引き下げに関する中国の努力の効果はすでに表れている。国際決済銀行の最新データによると、2016年第3四半期(7-9月)末時点で、中国の全体レバレッジ比率は255.6%で、同期比米国は255.7%、英国は283.1%、フランスは299.9%、カナダは301.1%、日本は372.5%だった。
担当者は、「絶対的なレベルから見ると、中国のレバレッジ比率は高いわけではなく、主要経済体の中間レベルに位置しているに過ぎない。」と述べ、変化の動向から見ると、中国のレバレッジ比率の上昇率は明らかに鈍化しており、安定に向かっていることを明かした。
同時に、中国企業のレバレッジ比率も下降し始めている。国際決済銀行の最新データによると、2016年第3四半期末時点で、中国の非金融企業のレバレッジ比率は166.2%で、前四半期末から0.6ポイント下降した。これまで、中国の非金融企業のレバレッジ比率は19四半期連続で上昇していたが、これにより下降傾向に転じた。2017年3月末、中国の国有企業全社と年間売上高が2000万元以上の非国有企業を含む「規模以上」工業企業の資産負債率も前年同期比0.7ポイント減となり、企業のミクロ経済におけるレバレッジ比率も下降傾向になっていることが分かる。
中央財経大学中国公共財政・政策研究院の喬宝雲・院長は、政府債務や、融資プラットフォームと政府債務の間の関係に関し、中国は明確な制度を制定しているが、ムーディーズが誤った仮説に基づき、企業債務と政府を一括りにしたのは、明らかな見当違いだとしている。
経済成長の減速が続くのか?専門家:悲観的過ぎる
今後中国の経済成長の減速が続くかを判断することは、ムーディーズによる格付けの下方修正がそのもう一つの根拠となる。この格付け機関は、ここ数年中国のGDP成長率は減速傾向が続き、今後5年間の中国経済の潜在成長率が5%程度まで下がる見通しだとみなしている。
これに対して、財政部の関連の責任者は、次のような見方を示している。今年以来、中国経済は去年の下半期以来、安定の中で良い方向へ向かっている発展の流れが続き、第1四半期のGDP成長率は6.9%で、前年同期より0.2ポイント加速し、主要経済指標は予想を上回り、経済構造の最適化が続いている。財政収入面では、1月から4月にかけて、全国の財政収入の伸びは11.8%増で、前年同期より3.2ポイント加速して、2013年以来、同時期での最高の成長率になっている。財政支出の伸びは16.3%増で、収入の伸び幅より4.5ポイント上昇し、前年同期より3.9ポイント加速して、経済の安定的な成長と構造調整の促進に重要な役割を果たした。
中国財政科学研究院金融研究センターの趙全厚主任は、次のように述べている。ムーディーズの予備判決は明らかに「悲観的過ぎる」で、中国経済は新常態に入っており、政府が主体的に進めた供給側構造改革の成果がすでにはっきりと表れている。ムーディーズが客観的な評価を行ったのではないだろう。(記者/劉紅霞、郁琼源、申鋮、安蓓)
(新華社より)
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