トランプ米大統領が就任すると、日本の安倍晋三首相は直ちに行動を起こした。共同通信社の報道によると、安倍氏は日米同盟を「不変の原則」とし、トランプ新大統領と早期に首脳会談を行うべく尽力する考えを強調した。だが米側の日程の都合により、今月27日に調整されていた日米首脳会談は2月にずれ込む見通しだ。(文:王世雅。人民日報海外版掲載)
■姿勢表明を急ぐ
共同通信社によると、安倍首相は衆院本会議で行った施政方針演説で、今年は各国首脳が選挙で交代したり、国際情勢に重大な変化が起きると予想され、日本外交は「ぶれないこと」が重要だとした。また「自由、民主主義、法の支配といった基本的価値観を共有する国々と連携する」「日本は『自由貿易の旗手』として、公正なルールに基づいた21世紀の経済体制を構築する」と強調。「世界の真ん中でその責任を果たす」と述べた。
日本の指す「自由、民主主義、法の支配といった基本的価値観を共有する国々」とは、実は米国のことだとの分析がある。米国が大統領交代の敏感な時期にある中、安倍首相のこうした発言には別の深い意味がある。
「日本の安倍氏がこれほど『意思表明』を急ぐのは、実はトランプ政権に取り入るためだ」。外交学院国際関係研究所の周永生教授によると、日本は先手を打って主導権を握る方法で、トランプ政権に米日同盟の方針を早急に確認させ、既存の米日政策の枠組を継続するよう促すことで、同盟関係を強化し、双方の政治的 経済的協力を促進する考えだ。
■慎重な行動
日本は以前からトランプ氏を抱き込もうとしてきた。日本経済新聞によると、安倍首相は今回の演説以外に、今月6日にもバイデン前副大統領と電話会談し、日米同盟がこれまでより一層堅固になったとの点で一致した。安倍首相はトランプ氏の大統領当選後、真っ先に訪米して「誠意」を示した。日本が今後日米同盟をどう強固にするかについて、周氏は「日本は日米同盟の強化を政治、軍事、経済面から着手する可能性がある。政治面では、日本は引き続き米国に追随して、表面上の平穏な関係を強化するだろう。軍事 安全保障面では、トランプ大統領の望みに合わせ、米国製武器を調達し、米国との軍事協力を強化する可能性がある。経済面では、安倍政権は依然トランプ大統領を翻意させ、できる限りTPPに引き戻す事を望んでいる」と述べた。だが、日本の「誠意」をトランプ大統領はまだ取り合っていない。トランプ大統領は就任演説で日米同盟に対する態度に言及しなかったが、トランプ政権が米軍基地の負担増という法外な要求を日本に課す可能性は依然ある。共同通信社によると、今月27日に行う予定で調整していたワシントンでの日米首脳会談もトランプ大統領の日程の都合で2月上旬以降にずれ込むことになった。日本の外交筋は「トランプ大統領にとって、日本の優先度は低いと言わざるを得ない」と落胆した様子で語った。
■幾重もの試練
今後、日本の対米外交政策は大きな試練に直面する。東京新聞は最近の社説で、安倍首相の外交政策を問題視した。社説は「日米関係は日本外交の重要な柱だが、日米同盟を『不変の原則』に祭り上げては、外交の選択肢を狭める。米国の軍事力に過度に依存しない、柔軟な外交政策の模索が必要だ」と指摘した。
同時に、トランプ政権のアジア太平洋政策の不確定性も日本にとって不安材料だ。今後、米政権のアジア太平洋政策の変化は、日米同盟にどのような影響をもたらすのだろうか。周氏は「トランプ政権のアジア太平洋政策には大きな不確定性がある。米政権には3つの選択が考えられる。第1に、東アジア地域におけるプレゼンスの強化。これは日本が最も期待しているものだ。第2に、アジア太平洋政策の縮小。これは日本が最も望まぬものだ。第3に現状維持。だがこの可能性は大きくない」と指摘。
(人民網日本語版)
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