第2次大戦の太平洋戦争の幕を開けた真珠湾事件から75年が経つ。死者はすでに去り、生者はまだ痛みを抱えている。日本の安倍晋三首相は26日と27日、真珠湾を初めて訪問し、戦争の犠牲者を哀悼し、まもなく退任する米国のオバマ大統領と最後の首脳会談を行う。
戦争の敵同士から和解を目指し、歴史の濃い霧をかき分け、「過去を克服」し、カギとなる「謝罪」はせずに、「反省と悔恨」だけを示す――これが、安倍首相の選んだ、日米同盟の「友好の未来」を示すための基調である。キーワードを明らかに欠いた「歴史的な和解」の劇がまもなく始まろうとしている。
不完全な「和解」
「私とオバマ大統領は、一緒に真珠湾を訪れる。『リメンバー パールハーバー』が和解の力を象徴する合言葉となることを信じている」安倍首相は東京で20日に行った講演でこの訪問についてこのように述べた。米国にとって真珠湾は、奇襲によって大きな損失を被った屈辱の地であり、「リメンバー パールハーバー」はもともと、日本への復讐を誓うスローガンだった。
「歴史的な意義」を持ったこの訪問を、安倍首相は、真珠湾事件の勃発した12月7日を避け、クリスマス期間を選んで行うことにした。ある分析によると、安倍首相があえて控え目な態度を取っているのは、批判や抗議を避けたいとのねらいがある。
菅義偉内閣官房長官は、「(今回の訪問は)慰霊のためであって、謝罪のためではない」と強調している。米国の一部議員や韓国系 中華系米国人の民間団体、反戦組織の抗議を引き起こしたものの、安倍首相の真珠湾でのスピーチは、米議会での演説と同様、過去の戦争に対する「痛切な反省」と「深い悔悟」を語り、謝罪はせず、広島を訪れた際に謝罪しなかったオバマ大統領と基調を合わせるものとなる見通しだ。
安倍首は真珠湾訪問を宣言した後、日本メディアに対し、「これで『戦後』(日本の『戦後体制』)は完全に終結する。以後の首相は真珠湾を歴史の一幕とすることができる」と語っている。
日米関係の「トゲ」
安倍首相のこの態度表明に対し、真珠湾事件を経験した米国人元兵士ジェイ グロフ(Jay Groff)氏は、安倍首相は米国の人々に「正式に謝罪すべきだ」と語っている。グロフ氏は、安倍首相が謝罪しない限り、米国と日本が本当に和解できるかは疑問だと考えており、「(日本の)首相が謝罪するまでは、『過去に終止符を打つ』ことは絶対にできない」と語る。
米国海外戦争退役軍人協会広報部長のジョー デイヴィス(Joe Davis)氏は、「死者を悼んで初めて生者のために前に進むことができる」と語る。。デイヴィス氏は、悲劇の再演を避けるためには歴史を忘れてはならないと強調する。
『ワシントン ポスト』は、安倍首相の今回の訪問は、右翼政権内の保守勢力の怒りを呼ぶ可能性があると指摘する。安倍首相は保守勢力の一部の観点には同意しているが、プラグマティックな戦略を取り、米国と極右勢力との間でバランスを取ろうとしている。同時に米国にはより大きな自主権を求め、隣国を牽制するより多くの任務を担うことを口実に、「普通の国」という宿願の実現を果たそうとしてる。
両国の「和解」の見通しについて、日本の『毎日新聞』は、日米は戦後、安定した同盟を築いてきたが、その背後には両国民の戦争に対する複雑な思いがあると指摘する。日本にとって米国は、広島と長崎に原子爆弾を投下した国である。米国にとって日本は、真珠湾を奇襲した国である。これは依然として両国の関係にとってのトゲとなっている。
(チャイナネット)
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