日本の主要企業100社を対象に、朝日新聞がこのほど景気アンケートを実施した。「消費者はなぜ、お金を使わないのか」について理由を3つまで聞いたところ、「人口の減少や国家財政難など、日本の将来に不安を覚えるため」との回答が65社と最も多かった。
東レの日覚昭広(にっかく あきひろ)社長は、「先行きの不透明さが払拭できず、不安感が増し、消費意欲をなくしているため」と指摘。富士重工業の高橋充(たかはし みつる)専務も、「同じ努力をすれば賃金はすべて上がるという経済社会構造はもはや存在しなくなった。多くの企業がベースアップを実施したものの、国家財政や社会保障に対する不安感が強いため、かなりの部分を貯蓄に回しているのではないか」と述べる。
大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングの山本良一社長は、「百貨店で婦人服や紳士服を購入する中間層の消費スタンスが非常にシビアになっている」と指摘。バンダイナムコホールディングスの浅古有寿(あさこ ゆうじ)取締役は、「消費増税は10%がゴールではないとの懸念が広がっており、ゴールが分からないゆえに将来に対する不安が払拭できないない」との見方を示す。
「賃金が十分に伸びていない」を選んだ企業も53社と半数以上だった。鉄鋼大手、東京製鐵の西本利一(にしもと としかず)社長は、「賃金が上がったのは企業の一部にとどまり、実際にはそれほど上がっていない」。東芝の綱川智(つなかわ さとし)社長も「賃上げ効果は限定的」」と指摘。
ファミリーマートとユニーが経営統合したユニー・ファミリーマートホールディングス。消費税引き上げ後も堅調に業績を伸ばしたという同社の上田準二社長は、「給料が上がらず、将来不安が徐々に強まっている影響がじわじわと表れてきた」と話す。
工作機械大手、DMG森精機の森雅彦社長は、「時給1000円では年2000時間働いても200万円の収入。これでは到底生活できない。最低賃金を1500円ぐらいにすべきだ」と非正規社員を含めた大幅な賃上げの必要性を訴えた。
このほか、「日用品や食料品・飲料の値上げは、年金を主な収入源とする高齢者の消費に影響を及ぼした」との見方もあった。
(チャイナネット)
関連記事: