プライスウォーターハウルクーパース(PwC)が28日に発表した報告書「中国資本市場洞察調査研究」では、中国企業108社の上層部に対する調査が行われた。それによると、中国企業は今後3年間の営業収入について楽観的な見方をしており、合併買収(M&A)に熱心で、グローバル市場における資金調達活動のペースを加速させているという。「国際商報」が伝えた。
成長の見通しを現実のものにし、M&A活動を完成させるには、資金調達がぜひとも必要になる。これについて、中国企業の上層部はどのように考えているだろうか。
同報告書によれば、上場企業に対する調査では、回答企業の43.8%が「今後24カ月以内に社債を発行する」と答え、31.3%が「株式を追加発行する」と答えた。民間企業への調査では株式投資によって成長を牽引しようとするケースがより多くみられ、48.7%が「今後24カ月以内に株式による資金調達を行う計画」と答え、「借金する計画」とした企業は21.1%にとどまった。
注目されるのは、調査時に多くの中国企業の上層部が、「大陸部市場での時価総額の方が高かったとしても、上場のスムースさや株式取引の流動性といった各種要因を考慮して、海外での上場を追求する」と答えたことだ。調査によれば、民間企業の0.2%が今後2年以内の上場を計画している。また民間企業の11.8%とIPO(新規公開株)を計画中の企業の約40%が、「海外市場での上場または再上場により傾いている」との考えを示した。
同報告書の分析によると、回答企業の65.9%が「潜在的な時価総額が上場地点を選択する上で最も重要な要因」と考えた。大陸部で上場する企業の株式収益率(PER)は欧州、香港地区、米国の各市場を上回るが、中国市場の主体は小規模な個人投資家であり、投機による影響を受けやすい。そして多くの中国企業が今のようなボーナス状態が永遠に続くことを期待してはならないことを理解しているという。
ICR社のジェレミー取締役社長は、「大陸部市場で時価総額の上位に並ぶのは多くが各分野のトップ企業ばかりで、同じ業界のほかの企業は利益を上げることが難しい状態だ」と話す。
またPwC中国資本市場・会計コンサルティングサービス分野のパートナーのローラ・バトラーさんは、「取引の監督管理機関は投資家の保護を中核的な使命ととらえてはいるが、一部の海外取引機関(たとえば米国証券取引委員会など)のやり方は企業が意義のある透明性の高い情報公開を行うよう確保して、投資家が自己決定できるようにするというものだ。これは米国で上場することを考えている企業が自社の命運をよりよく把握することにつながる」と話す
こうした背景の下、中国企業の上層部は、時価総額は方針を決定する時に考慮する要因の一つにすぎないとの見方を示す。上場地点を決定し、上場を成功させる過程では、「株式取引の流動性」(64%)と「上場のスムースさ」(51.2%)も重要な検討要因だ。上場のスムースさという点では、回答企業の3分の1以上が、「最大の懸念は監督管理部門の審査認可にかかる時間だ」との見方を示した。その他の懸念要因としては、「上場のタイムテーブルがうまくいかなくなること」や「監督管理の環境の不確定性」などが挙げられた。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロン預託証券部門の原剣■(あめかんむりに文)取締役社長は、「この結果には説得力があるし、私たちが市場で目にする状況と一致する。上場プロセスの透明度と投資家の成熟度は中国企業が上場地点を決定する際の重要な要因だ」と話す。
(人民網日本語版)
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