中国海関(税関)総署の最新のデータによると、今年1-10月期、中国の石油製品の輸出量が前年同期比37.4%増の3811万トンに達し、この時点で昨年の年間総量を超えた。純輸入から純輸出、そして輸出量が過去最多記録を塗り替え続け、中国の石油製品の輸出入の図式はわずか数年の間に大きく変化している。業界関係者は、第13次五カ年計画(2016‐20年)期間中、中国の石油製品の輸出量は右肩上がりとなると予測している。 新華社が報じた。
中国石化経済技術研究院の毛加祥・副院長によると、2010年以降、中国の石油製品の消費の増加は年間平均4.2%まで低下している。例えば、15年、軽油の消費量が峠に達し、25年と35年までにガソリンや航空用ガソリンの消費が峠に達すると見込まれている。現在、中国は7億トン以上の石油の精製能力を持ち、過剰生産能力が深刻化している。また、「第13次五カ年計画」期間中、石油の精製能力はさらに向上すると見られている。つまり、石油の精製能力過剰の問題は今後、一層大きくなることを示している。
中国連合石油有限責任公司の趙勇・総裁は第5回中国国際石油貿易大会で、実際には、今年の1-9月期に、中国の石油製品の輸出量が昨年の年間総量を超えていたことを明らかにした。現在、中国の石油製品は主に東南アジアに輸出されており、一部の資源はオーストラリアや南米にも流れている。
趙総裁によると、中国の石油の精製能力は15年の年間7.3億トンから、20年には年間8億トンにまで向上し、毎年約8000万トンが過剰生産になる可能性がある。これらを背景に、中国の石油製品の輸出は今後も拡大を続けると予測されている。世界の石油製品貿易市場の環境からすると、近年、石油の精製能力が向上している国は主に中東やインド、中国などに集中している。また、20年には、世界の石油製品の需要が49.5億トンに達すると見込まれている。しかし、世界の石油精製能力の向上速度から考えると、世界の石油製品市場でも、供給過多の局面を迎えている。
中国の石油製品の輸出が増加の一途をたどるにつれ、アジア太平洋地区の石油製品の貿易の図式も変化している。毛副院長は、「中国の石油製品の輸出は、日本や韓国、シンガポールなどとの競争に直面する」と語る。これらの国は石油製品の輸出を対象にした、免税政策を実施している。そのため、中国も石油製品の輸出を対象にしたサポートを強化し、その輸出の世界における競争力を向上させなければならない。
実際には、世界の石油製品貿易市場において頭角を現しているのは中国だけではない。米国のCambridge Energy Research Associates(CERA) 社の石油市場研究責任者・劉海全氏によると、13年以降、米国の石油精製工場の石油製品輸出は爆発的に増加している。また、中東もその石油産業チェーンを拡大し、上流から、中・下流へと開拓を進めているという。
毛副院長は、「もし、中国の石油製品の輸出範囲がアジア太平洋地域に限られたとしても、中国は一定の競争力を誇る。しかし、その範囲を拡大させるのであれば、石油製品を輸出するための港や貯油施設の整備、輸送能力向上なども進めなければならない」と指摘している。
(人民網日本語版)
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