南中国海をめぐる仲裁裁判所のでたらめな判決について、オーストラリアの学界から強烈な反応が連日起こっている。オーストラリアの専門家は『人民日報』の記者に対し、今回の判決が引き起こす後遺症が人々に不安を与えるとの見方を示し、対等な協議をベースとした双方の話し合によってのみ問題を根本的に解決できると指摘した。
オーストラリア国立大学国家安全保障カレッジのシニア・エグゼクティブ・アドバイザーを務めるマリーナ・チバス氏は取材に対し、国家間の主権と境界をめぐる紛争を解決する最良の方法は両国が直接コミュニケーションをとって協議することと話した。
オーストリア・ウーロンゴン大学法学院の講師を務めるローウェル・バウティスタ氏はフィリピン出身で、すでにオーストラリアへ来てから十数年にわたり仕事をしてきた。『人民日報』の記者から取材を受けた際、南中国海の紛争を解決する最も良い方法は当事者による話し合いと協議になると強調。アキノ3世政権とは異なり、フィリピンの新政府が話し合いを通じて南中国海の紛争を解決する意向を示しており、それが新たなきっかけになるとの見方を示している。
ここ数年、中国の成長を妨げるために米国がアジア大陸のリバランス戦略を進め、「航行の自由」を守ることを口実に南中国海の紛争に介入して南中国海地域の情勢を緊迫化させる重要な黒幕となった。バウティスタ氏は、南中国海地域の航行の自由は以前から問題となっておらず、海上はもちろん上空も通行が可能で、中国も航行の自由を確保する方針をすでに何度も示してきたと指摘している。
「南中国海の問題はアジアの問題なので、地域内の当事国が自ら解決するべきだ。地域外勢力には干渉する権利がなく、手を出してもならず、米国は南中国海の問題に口出しをする資格はない」。オーストリア・ニューイングランド大学法学院の上級講師で国際海洋学者の劉能冶氏は、米国の「海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)」に対するスタンスが国際社会ですっと批判されており、米国に南中国海の問題に口出しする資格はないと述べた。「米国は自国に不利な条項があるために国連海洋法条約の締約国とはなっていないのに、国連海洋法条約が国際慣習法の重要な一部分を構成していることも認めている。これは米国が国連海洋法条約でダブルスタンダードを採っていることを意味し、自国に有利な条項のみを選んで遵守する一方、条約を南中国海の問題に干渉する道具としている。南中国海の問題は当事国が直接話し合いと協議を行って解決するべきで、地域外勢力には干渉の権利がなく、手を出してはならない」としている。
劉能冶氏は、フィリピンが一方的に提起した南中国海をめぐる仲裁手続きにはフィリピンの前政権による外交政策の誤った判断がみてとれると指摘。バウティスタ氏も、中国とフィリピンは動くことのできない隣接国となるため、中国とフィリピンの関係は非常に重要で、フィリピン政府と中国側が話し合い、コミュニケーションをとって両国関係を早期に修復することを期待したいと話した。(人民日報オーストリア駐在記者 李鋒 鮑捷)
(チャイナネット)
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