新華網香港7月19日(記者/顔昊、王小旎、淡然)香港で海洋紛争解決国際法シンポジウムに参加した専門家や学者がこのほど、南中国海仲裁案の臨時仲裁裁判所が下したいわゆる最終裁決は、一つの主観的な悪意を帯び、国際法の精神に合致しない無効な決定で、その目的は『国連海洋法条約』の一部の条項を利用して政治目的を達成することにあるとの見方を示した。
清華大学のジョン・カティ(音訳)教授は、臨時仲裁裁判所のいわゆる最終裁定は、『条約』の引用と解釈に対して主観的な悪意に満ちており、裁決の内容から見ると、『条約』の中のフィリピンにとって有利な一部の条項を利用し、不利な条項の多くを故意に軽視したり、フィリピン側の訴えの妨げとなるような条項を避けたりしており、『公約』の適用に対し厳粛性がまったくないとみなしている。
カティ教授は、フィリピンが一方的に提起した南中国海仲裁案に中国政府が参与せず、受け入れないという態度は非常に賢明な方法で、このようないわゆる最終裁決に対し中国はまったく取り合う義務はないものとみなしている。
米国バージニア大学の国際法を専門とするMyron Nordquist教授は記者に、臨時仲裁裁判所が国際の学術界の一致した意見や客観的な事実に逆らうことを惜しまず、南中国海の太平島を島ではなく「礁」と判定したことは、『条約』に対する臨時仲裁裁判所の選択的適用について十分に反映していると述べている。
台湾・海洋大学の高聖惕教授は、次のような見方を示している。南中国海仲裁案の臨時仲裁裁判所の裁決は本質的には境界線をめぐる判決で、越権的な判決だといえる。これは中国がなぜ当初から仲裁に参与しないかを解釈することができる。「結果から見ると、中国が判決を受け入れねばならないなら、それは主権放棄に等しいでしょう。」
高教授は、次のように考えている。今のところ二国間交渉だけが双方のいずれもが受け入れられる紛争解決の方式だろう。中国とASEANが2002年に締結した『南中国海各方面行動宣言』に基づいて、南中国海をめぐる主権と管轄権に関する紛争は、関連の主権国家を通じて二国間交渉によって解決せねねばならない。
国際司法裁判所の元判事、Abdul Koroma氏は、次のような見方を示している。仲裁裁判所のいわゆる裁決に紛争が存在することは誰の目にも明らかで、またそれにより国際社会に熱い議論を引き起こしている。その紛争は主に次の2点に体現されている。まず、仲裁裁判所が管轄権を持つかどうか、この問題がずっと解決していないこと。その次に、裁決結果の中の一部の事項はこれまで前例がなかったこと。国際法に基づき、仲裁裁判所は先例のない事件について裁決を下す権利を持たず、また仲裁裁判所もこれに対し合理的な説明を行ったことがない。これ以外にも、国際法の原則に基づき、第三者による紛争の解決には、必ず紛争に対する双方の同意に基づかなければならず、紛争当時者が合意に達しなかった場合、仲裁裁判所は紛争について裁決を下す権利を持たない。
香港国際仲裁センター(HKIAC)と中国国際法学会が共同で主催した海洋紛争解決国際法シンポジウムが15日から16日にかけて香港で開催された。中国、オーストラリア、米国、フランスなどの10カ国と地域から来た国際法と海洋法の専門家・学者210名余りがシンポジウムに参加した。
(新華社より)
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