「日経」中文サイトの7月6日記事によると、インバウンド消費は安倍政権の成長戦略の1つとなっているが、かつて席巻した「爆買い」ブームが話題に上ることは少なくなった。インバウンド消費の最前線で変化が生じている。
5月の連休が終わると、東京港区にあるヤマダ電機新橋駅店が閉店した。同店は2015年春に開店したばかりの免税品専門店。ヤマダ電機は当時、赤字だった60店舗を閉店させる一方、この「戦略店」をオープンさせた。ヤマダ電機の社長である山田昇氏は「インバウンド消費は経営の柱にならない」とし、1年強を経て閉店を決断した。かつて訪日中国人観光客は、10万円前後の炊飯器を一気に数個買い上げてきた。しかし増加を続けてきた「爆買い」も減少に転じている。
中国経済の減速と、2015年夏の株価下落、続く円高……。この1年で日本の商品の「お買い得感」は20%近く減少した。しかし「爆買いブームの下火」の理由はこれだけではない。
報道によると、上海日本総領事館が1~4月に発給したビザ件数は前年比で15%増加している。訪日ブームは今なお健在だ。日本製商品の人気も依然として高い。実際、2016年1~3月の訪日中国人観光客の消費総額は大きく伸びており、前年同期比で40%増となっている。一方、一人当たりで見るとその金額は12%減少している。
中国政府は4月に越境Eコマースの税制を変更した。かつては非課税だった個人輸入貨物が、通常貿易と同等の関税が課せられるようになった。人海戦術で商品を売り買いしてきた従来の「代購」(代理購入)ビジネスは、課税と円高の影響で商売が成り立たなくなっている。日本百貨店協会が発表した4月の全国百貨店訪日観光客販売額は、3年3カ月ぶりに減少に転じた。観光客数は7%増加したものの、1人当たりの消費が16%減少したからだ。
免税品の販売状況も予想を下回っている。家電店のビックカメラは2016年度(2016年8月まで)の販売予想を下方修正した。
上海日本総領事館の統計によると、1~4月の訪日観光ビザの発給件数は前年同期比で15%増加しており、また訪日観光団体ビザの発給件数は前年同期比5%減だった。初めての減少である。一方、日本行きの個人旅行マルチビザの発給件数は前年同期比で40%増となっている。訪日観光客の興味は「買い物」から「体験」に移っており、これも「爆買い」の勢いが弱まっている要因の1つとなっている。
何度も日本に訪れる観光客は、日本ならではの体験を望んでいる。行き先も大都市から地方都市へと分散し始めている。日本の観光庁の統計によれば、2015年、日本の地方都市で宿泊する外国人は前年比で60%増だったが、東京や京都、大阪は42%増にとどまる。ここからも、訪日外国人観光客が地方都市に興味が移っていることがうかがわれる。
(チャイナネット)
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