カンボジアのフン・セン首相はここ最近、日本が南中国海問題を理由にカンボジアへの経済援助を中止すると脅し、カンボジアの内政と外交に干渉していることへの怒りを繰り返し表明している。フン・セン首相は6月20日、カンボジア国家行政学院の卒業式で、「ASEAN域外の某国」の駐カンボジア大使が、カンボジアとその他のASEAN諸国に圧力をかけ、南中国海問題をめぐって発表される仲裁判断を支援するよう求めていることを明らかにした。フン・セン首相は29日の公のスピーチでも、日本の駐カンボジア大使を名指しで批判し、経済援助の中止という脅しによってカンボジア内政に干渉していると指摘した。カンボジア現地のメディアは、日本とEUの絶え間ない圧力は、南中国海問題をめぐる中国の立場を支援することをカンボジアが繰り返し明らかにしている重要な原因となっていると分析している。
カンボジアへのこうした圧力は良好な効果を収めているとは言えないようだ。その原因としては次のいくつかが考えられる。
第一に、南中国海に関する仲裁裁判が支持を取り付けていない。法律の常識をわきまえた国ならば、南中国海仲裁案が、中国を標的とし、国際法を踏みにじる騒ぎにすぎないことがわかる。このようなやり口がもし今日、中国に使われるならば、明日には自国にも使われることになるかもしれない。カンボジアなどの国が断固とした反対を示しているのはそのためである。
第二に、日本のやり方が反感を呼んでいる。周知の通り、日本は第2次大戦の敗戦国であり、アジアにおける戦争の源となった国であり、その侵略の罪はアジア各国の人民に限りない災難をもたらした。人類に反するその重い罪は、洗い流すことのできない原罪とも言える。日本はそれにもかかわらず、贖罪を求めることなく、米国の覇権主義に習って援助を利用して他国の内政に干渉しようとしている。このような行為が、東南アジアの国の反感を呼び、反対に遭うのは、当然なことと言える。
第三に、日本の「片思い」がカンボジアの抵抗に遭っている。日本はいつも、過去の事はすでに過ぎ去ったものと考え(広島と長崎への原爆投下は忘れないが、なぜそれに至ったかは忘れている)、侵略を受けたASEAN諸国を経済援助という手段で従わせることができると考えている。その目的が達せられないとわかれば、経済援助の打ち切りという方法で相手を脅し、相手の感情や国家の利益はまったく顧みない。こうした自己中心的で一方的なやり方がカンボジアなどのASEAN諸国の抵抗を受けるのは当然である。
第四に、日本は情勢判断を誤っている。日本は、カンボジアなどの国が中国の隣国であるという変えようのない地理上の事実を認識できていない。中国は善隣外交を取っており、これらの国々は、いくら経済援助をしても、中国に対抗するための日本の手先になろうとすることはない。言いかえれば、日本は、これらの国々の指導者の政治的知恵を見くびっているということである。日本のやり方は、国際交流においては、他人を尊重する賢いやり方とは決して言えないだろう。(文:馬尭・上海外国語大学国際関係・公共事務学院特約研究員)
(チャイナネット)
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