(資料写真)
日本に来る前に、友達から青春18きっぷというものを教わった。「JRの普通列車が一日乗り放題だよ!試してごらん」と言われた。そのときはピンと来なかったが、実際日本に来て、2300円で乗り放題がどれほど割安か分かった。うまく使えば、一日で普通一万円以上もかかる地域まで行けるのだ。「おいしい切符、みつけた~。よし!これを使って北海道旅行に行こう」と私は決心した。
ところが、旅行計画を立てるのにずいぶん時間がかかった。なぜなら、青春18きっぷの安さの陰には、「わな」も非常に多いからだ。まず、乗換えが多いので、北海道まで効率よく行くには相当の知恵が必要だ。タイムスケジュールにたった一つでもミスがあったら、計画全体がつぶれてしまう可能性が高い。そして、一人旅でない場合、チームワークも重要だ。目的地や宿泊先等をめぐって、私と友達の呉さんは話し合いを繰り返し、互いにある程度の妥協もした。また、長時間、各駅停車の長旅ゆえ、それに耐えうる体力、気力があるかどうかも考慮して、スケジュールの調整をし、呉さんと確認しあった。中国では「学業・思想・身体」ともに優れた学生のことを「三好学生」と言う。青春18きっぷの旅は、まさに「三好学生」にしか達成できないような課題だ。
7月27日、「三好学生」を目指していよいよ長野を出発した。よ~し!初日は新庄に予定通り到着。しかし、翌日…秋田から青森に向かう東能代駅で、列車が大雨でストップした!二時間経ってもぜんぜん動かなかった。やむを得ず予約していた宿もキャンセルした。困り果てていた時、ふと隣席に座っていた青春18きっぷの達人が代行タクシーに移ろうとしているのを見て、臨機応変、彼の後に従った。おかげで、夜8時半、なんとか予定の函館に着いた。そして、達人に教えてもらった方法でもっといいホテルも見つけることができた。チェックインした後、近くのハンバーグ屋に入ったら、開店後初めてのお客さんだと言われた。おいしいハンバーグを食べながら、マスターと楽しく話し合った。「苦あれば楽あり、、、」「どきどき、はらはらの旅」の2日目だったが、二人で大きな達成感を味わい、最高の気分で眠りについた。
青春18きっぷの旅は思ったよりずっと大きなチャレンジだった。でも、突発事件のおかげで、私も呉さんも立派な「三好学生」に成長したと思う。その後、2週間余りの旅は、慌てず、騒がず、助け合い、美しい思い出をたくさん作った。
青春18きっぷの存続についていろんな意見があると聞いているが、その旅は日本の「三好学生」を育成する有効な「教育」手段ではないかと私は思う。チャレンジ精神こそ人間を成長させる。今、達成感を味わった中国の留学生の私は、JRに感謝状を捧げたい気持ちでいっぱいだ。
(作者/谷恵萍 北京聯合大学旅遊学院日本語科の先生)
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