第三段階は2010年から2023年前後までの中高取得段階。2010年、中国は中高所得段階に達した。同時に経済成長のスピードは高速成長から中高速成長に切り替わり、経済の発展状況は新常態に入った。中高速成長に基づき推測すると、中国がこの段階を抜けるのには約13年の時間を要する。中高所得段階においては、伝統的な要素の優勢は次第に失われ、大規模な投入もまた制約を受けるようになる。成長スピードは減速し、迅速な生産率の向上と、粗放型成長モデルから集約型成長モデルへの転換、要素駆動からイノベーション駆動への転換が必要となる。そのため、党中央は直ちに供給側の構造改革を推進し、過剰な生産能力の調整、在庫消化、レバレッジ解消を通じて供給側の質と効率を向上させ、コスト削減と弱い部分の補完を通じて企業の生産率、投入産出率と競争力を向上させている。供給側の構造改革を推し進めることは、中高速成長のスピードと「中所得国の罠」を乗り越えるための生命線を確保することにつながる。
第四段階は2024年頃から始まると予想される高所得段階。高所得国は先進国であるとは限らない。先進国になるためには総合的な評価システムに適合しなければならず、その一つの目立った特徴としては技術イノベーションタイプの国家であることが挙げられる。技術イノベーションを駆動とし、根本的な成長エネルギー源とする必要がある。現在、中国の技術イノベーションの経済成長への寄与度はすでに55.3%にまで達しているが、しかし先進国家レベルからすると依然として低い数値となっている。イノベーション発展は党中央が提起した新発展理念の第一条であり、イノベーション能力の向上は供給側の構造改革の重要な内容となっている。これら新理念と新措置は中国の現状の問題を解決していくだけでなく、長期的な発展を実現していくものだ。これらの新理念と新措置を徹底し、自国のイノベーション能力の向上に努力し、イノベーション駆動による発展戦略を実行し、イノベーション型国家の建設を加速することで、初めて今世紀半ばまでに先進国家レベルに達するという目標を順調に実現することができる。
高所得のハードルを越えた上で、中進国への道を邁進
中国は世界銀行が定める高所得国家のハードルを越えた後も引き続き長い道のりをゆっくり歩み続けなければならない。現在、高所得のハードルは一人当たり国民総所得1万2600ドルとなっているが、米国はすでに5万5千ドルに達しており、ルクセンブルクは11万ドルとその差は非常に大きい。中国にとって「中所得国の罠」を乗り越えた後の次の目標は「中進国」への道を邁進することだ。中進国の目標は1980年代末にトウ小平(トウは登におおざと)氏が「三歩走発展戦略(三段階の発展戦略)」の中で初めて提起した。国民一人当たりの指標からみると、中進国はおよそ2015年に韓国が達成した一人当たり国民総所得2万7千ドルのレベルに相当する。中速の成長スピードで、物価要素を排除した場合、2035年前後までには中国の一人当たり国民総所得が2万6千ドルから3万ドル(2015年レート)に達するだろう。これは中国経済が再び経験することとなる重要な段階であり、改革開放以来の経済発展における「第五段階」であると言える。高所得国の列に加わり、中進国への道を邁進する上で、さらに大きな挑戦を迎えることになろうとも、中国の特色ある社会主義路線を堅持していけば、必ずや目標実現に成功するに違いない。また前述したエコノミーの発展経験から、中国は下記3点の啓発を得られる。