年に一度の大学入試が7日、中国で盛大に始まった。これは旧正月前後の民族大移動と同じく、世界を驚かせる瞬間だ。伝統文化の特徴を引き継ぐ中国の入試制度は、無数の一般世帯の運命に深い影響を及ぼす、この国を揺るがす社会的大事件だ。大学入試の広さと深さは、中国と世界を差別化する大きな要素の一つだ。
中国の受験者数は近年、微減の傾向を示している。2大都市の北京と上海の今年の受験者数は、ピーク時の約半数となっている。しかし社会の利益の分配、公平性の保証という大学入試の重用な役割に変化はなく、依然として人生を強く左右している。
大学入試は最も批判を浴びているが、中国人から最終的に最も惜しまれる制度でもある。批判の声は後を絶たないが、大学入試の公平への貢献は中国随一であると考える人が増えている。大学入試があれば、中国の社会層間の流動の可能性が生まれ、一般的な学生にも希望が生まれる。中国人の人生は大学入試と結びついており、多くの人は幼い頃から18歳まで入試に備えていると言える。結婚して子供ができると、多くの人は絶えず子供の入試のため計画を立てなければならない。
安徽毛坦場中学と河北衡水中学は、最も有名な「受験生工場」だ。2校は中国の発展が遅れている省に位置する。中国で人口が最も多いのは河南省で、一部の地級市初級中学の子供は朝5時半に登校し、夜9時半に下校する。高校に進学するとより苦しくなる。
大都市では、子供を海外留学に送り出す家庭が増えている。中国の海外留学生数は2015年に53万人に達した。留学生の激増は、中国の高等教育水準向上の、不利な一面を示している。これは非常に莫大な教育費の外部流出だ。しかもこれは中国の受験者数が減少を開始し、一部の大学が受験生集めに苦しむ中で生じている。
教育の公平性を確保すると同時に、中国は国内の高校の総合的な質、国際化水準を高めることで、中国を新たな世界高等教育センターにするため全力を注ぐ必要がある。中国と外国の大学教育水準の差が「激しい」と思われれば、一部のトップクラスの大学を除く中国の大学は、優秀な学生という発展の最大の原動力を失うことになる。一部の新たに設立された大学は、徐々に荒廃するだろう。
中国の中産階級にとって、米英の大学が「省重点大学」とするならば、その他の先進国の大学は「市重点大学」で、中国の大学は「重点にあらず」だ。これが続けば米国は「優秀学区」で、中国は「遅れた学区」になる。これは総合的に非常に深刻な影響を及ぼす。
中国の古代の科挙は、世界で最も先進的な登用試験だ。社会的地位の差を打破し、貧しい人と貴族の出を同じスタートライン上に立たせたからだ。西側諸国の文官制度は、中国の科挙にならっている。大学入試は全体的にその公平性を継承しており、人材登用の社会的規模を大幅に拡大した。しかし大学入試の価値をグローバル化の時代に落とさないために、中国の一流大学はより一流になり、二 三流大学も西側諸国の一般的な大学に負けないと思われなければならない。生まれた時から「大学入試まであと何日」とカウントダウンされている中国の子供たちに、その甲斐があったと思わせるために、中国のより多くの大学を世界の学生にとっての聖地にしていく必要がある。
(チャイナネット)
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