三菱で強制労働に従事した元労働者による統一交渉団の代理人、在日中国人の林伯耀氏は新華社のインタビューに応じた際に、「代表的な日本の大企業が歴史の間違いを認め、被害者に謝罪したことは肯定できる。この和解が、日本社会の歴史直視を促進することに期待しており、教科書に記載する価値がある」と述べた。
三菱マテリアルは北京で1日、第二次大戦中に日本に強制連行された中国の元労働者3人と和解した。三菱マテリアルは被害者に「心からの謝罪」を表し、その証として元労働者もしくは遺族に1人当たり10万元を賠償し、かつ被害者のための記念碑建立に出資することを約束した。
日本に強制連行された中国の元労働者は1990年代、日本の裁判所で訴訟を起こし、強制連行の事実をめぐり日本政府と関連企業に謝罪と賠償を求めたが、失敗に終わった。2013年の年初、二戦中国労工三菱受害者聯誼聯席会、二戦中国労工聯合会三菱労工分会、二戦中国労工長崎三島受害者聯誼会、山東省三菱受害者聯誼会、二戦中国労工受害者河北三菱分会の5団体による三菱元労働者代表団は、統一交渉団に委託し三菱マテリアルと交渉し、最終的に和解した。
林氏は和解の意義について、次のように話した。
日本社会では侵略戦争の歴史を否定し、軍国主義の歴史的責任を薄めようとする傾向が見られる。代表的な日本の大企業が過去の間違いを認め、被害者に謝罪し、その証として賠償金を支払うと具体的に表明したことは、歴史を直視する姿勢を示した。これは日本社会の多方面に大きな影響を及ぼす。
労働者の強制連行問題は、日本が過去の侵略戦争で中国とアジアの人々にもたらした大きな被害の、一つの典型的な事例だ。日本のその他の企業がこれをきっかけとし、三菱マテリアルに学び、中国の元労働者と和解を実現することを願う。これは中国の元労働者が願っていることだ。
三菱マテリアルの謝罪の意は全体的に見て認めることができるが、100%満足できるものではない。例えば三菱は1942年の閣議に基づき、3765人の中国人労働者を作業場に受け入れたとしたが、これはまるで政府が労働者の徴用を決定し、三菱はこれを受け入れただけのようだ。実際には企業側が自主的に政府に労働者を送るよう求めていた。
また当時、中国人労働者に対しては、日本の労働法が適用されなかったという。これはつまり、中国人労働者には法定休日がなく、労働時間も勝手に延長されたことを意味する。企業が当初より、中国人労働者を奴隷のように酷使していたことが分かる。交渉団は三菱側に対して、謝罪文にこれらの内容を書き入れるよう再三要求していたが、遺憾ながら合意には至らなかった。
日本での苦難から70年以上が経過するが、元労働者の心の傷は残されたままだ。元労働者の人権はかつて侵犯されたが、この問題が解決されなければ、人権侵害が続けられることになる。
生存中の被害者は減少を続けており、遺族でさえ高齢化している。日中政府が、残された化学兵器問題を解決するように、両国間の労働者問題を解決することを願う。日本による労働者の強制連行の史実は明らかであり、日本政府は責任を逃れることができない。
(チャイナネット)
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