新華網北京5月13日(記者/伍岳)中国外交部条約法律司の徐宏司長は12日、中国と外国のメディアにフィリピンが提示した南中国海仲裁案が関連した国際法問題について説明し、関係仲裁裁判所はいかなる法的効力も備えておらず、この案件に対する管轄権がなく、裁決を下す権利はないと強調した。
徐宏司長は同日に開かれたブリーフィングで、次のように述べた。平和的に国際紛争を解決するのは、国際法の一つの重要な原則だが、平和的に紛争を解決する方法は多種類で多様化しており、強制仲裁はその一つに過ぎない。且つ、交渉と協議などの方法と比べて、強制仲裁は副次的で、補充的な方法で、少なくとも次に挙げる4つの条件に適合する場合に適用される。
第一に、仲裁申し立ての関係事項が『国連海洋法条約』の規定範囲を超えている場合は、強制仲裁を採用できない。フィリピンが申し立てた仲裁は実質的に南中国海の一部の島礁の領土主権問題であり、条約の適用範囲を超えているため、強制仲裁を提起できず、仲裁裁判所も管轄権を有しない。
次に、関係紛争が海域境界画定、歴史的な海湾岸、又は所有権、軍事活動、又は法執行活動などに関連する場合は、『国連海洋法条約』締約国は強制仲裁を受け入れない声明を発表する権利を有する。この排除はその他の締約国に対しても法的効力を持つ。上述した一国に排除された紛争について、他国が提起することはできず、仲裁裁判所も管轄する権利はない。
第三に、当事者がその他の方法による関係紛争の解決を独自に選択した場合は、強制仲裁を再び申し立てるべきではなく、仲裁裁判所にも管轄権はない。
第四に、当事者は紛争解決方法について、事前に意見を交換する義務がある。当事者が意見交換の義務を履行しない場合は、強制仲裁を申し立てるべきではなく、仲裁裁判所にも管轄権はない。だが、フィリピンは紛争解決方法について中国と意見を交換する義務を果たしていない。
徐宏司長は上述した4つの条件は事実上、『国連海洋法条約』締約国が仲裁を提起し、仲裁裁判所が管轄権を行使する「4つの敷居」で、一括した均衡の取れた規定であり、全面的かつ完全に理解し、適用されなければならないと述べた。
「上記条件に基づきフィリピンが一方的に提起した仲裁を考えると、それが国際法に違反し、典型的な条約の乱用であることが容易にわかる。このため、この仲裁案は最初から存在すべきではない。」と徐宏司長は述べた。
徐宏司長はまた「フィリピンは仲裁を申し立て、一部の国が波乱を大きくするよう助長するのはいずれも真剣に紛争を解決するためではなく、明らかに別の意図がある。」と語った。
(新華社より)
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