世代間の待遇格差が日本社会の突出した問題となっている。朝日新聞が先ごろ全国の18~19歳の若者3000人を対象に行った民意調査によると、59%の若者が中高年層との収入格差が大きすぎると感じており、56%が「努力しても報われない」、82%が「自立が困難」と感じている。社会の不公平を是正する経済政策を求める声が多かった。
日本の人口学には「団塊の世代」という言葉がある。1947~1949年に生まれた戦後のベビーブーマーを指す。1970~80年代の日本経済の奇跡を創り出し、現在は定年退職している世代だ。高度成長期のボーナスの受益者であり、現行社会保障制度の政策制定を主導してきた。団塊の世代は日本社会で最も豊かな層である。
バブル崩壊後に生まれた世代はこれほど恵まれていない。確かに上の世代より豊かな幼年時代を過ごしてきたが、社会に出る頃は「失われた10年」と呼ばれる経済低迷期であり、就職活動は「氷河期」と呼ばれた。終身雇用だった団塊の世代と異なり、25~34歳の就業者のうち3割近くが非正規雇用だ。20~24歳の層ではその割合が4割を超える。非正規雇用は収入が少ない上に不安定であり、その多くが結婚もできず子供も養えない。
少子高齢化が加速するに従い、労働者の年金負担もますます重いものとなっている。そして保険料の支払金額と定年後の給付金額の差額が世代間で異なる現象が生まれた。厚生労働省の概算によると、1945年前後に生まれた日本人が受け取る国民年金給付金額の総額は、保険料支払金額の5.2倍である。一方、1985年以降に生まれた日本の若者が将来受け取る年金額は、支払金額の2.3倍に留まる。これが若者の不満を引き起こしている。
日本の社会保障体系は「高齢者びいき」だと批判され続けてきた。これは高齢層が強い政治的発言権を持つことと関係がある。数十名の日本の政治学者が2015年に発表した「選挙投票率低下対策」レポートによると、2012年、20歳前後の選挙民の投票率は37.8%と平均投票率より20ポイント低かった。投票率が最も高かった60歳前後の層と比較すれば37ポイントも低い。少子高齢化の人口構造から、60歳前後の選挙民の投票数は20歳前後の選挙民の投票数の2.5倍となっている。年齢層よって投票率が異なることが政策策定に影響を与え、それが世代間格差をさらに広げている。
東京大学社会学教授の佐藤俊樹氏は、現在の社会保障体制は高度経済成長期に作られたものであり、社会的再分配を通じてしか世代間格差を解決できないと述べる。今年の夏、参議院選挙が行われる。この選挙では初めて、投票権を持つ年齢が20歳から18歳に引き下げられ、18~19歳の約240万人の若者が選挙権を持つことになる。これは全有権者数の約2%である。
日本では、より多くの若者が政治に参加し、自分の声を発するように鼓舞している。朝日新聞の調査によると、新たに選挙権を持つ若者の68%が「投票に行く」としている。投票をきっかけに真剣な議論を呼び、世代間格差の是正につながることを同紙は期待する。
(チャイナネット)
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