日本から米国に返還する研究用プルトニウムについて、米サウスカロライナ州知事が受け入れを拒んでいる。同州の核施設に搬入される予定だが、知事は最終処分場となることを懸念し、輸送中止か移送先変更を米政府に要請した。日本メディアが伝えた。
オバマ大統領は今月31日に米で開幕する核安全保障サミットで、日本からの返還を自ら主導した成果だと訴える見込みだったが、直前でつまずいた格好だ。
プルトニウムは22日に英輸送船で東海村を出航した。強奪を警戒し、詳細な輸送ルートや日程は非公表だが、早ければ5月にも米国に到着する見通しだ。知事が強硬に受け入れを拒めば行き先が定まらず、異例の事態になりかねない。
受け入れ拒否の背景には、同州サバンナリバーでのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)工場の建設中断という事情がある。プルトニウムをウランと混ぜて原発で燃やすMOX燃料に加工する予定だったが、当初は10億ドルと見込まれた建設費が78億ドルに膨らみ、米エネルギー省が2014年3月に建設を凍結した。
MOX燃料に加工されなければ、同州がプルトニウムの最終処分場になりかねない。こう懸念した知事は、すでに施設に搬入済みのプルトニウムも、処理するか州外への搬出を要請した。エネルギー省が要請に応えないため、知事は1日100万ドルの罰金を科すなど、政府と州の対立は激化している。
(チャイナネット)
関連記事: