国際労働機関(ILO)が7日に発表した報告書「職場の女性:2016年の情勢」によると、一部の地域では仕事をめぐる男女の平等で進歩がみられるが、過去20年間で雇用市場の男女差は0.6%しか縮まっておらず、女性の賃金は男性に比べて23%低いという。現在の状況を踏まえると、男女間の平等賃金が完全に実現するには少なくとも70年はかかるという。新華社が伝えた。
▽仕事の男女差に変化なし
この報告書は世界178カ国のデータを分析したもの。ILOのガイ ライダー事務局長は、「報告書からわかるように、女性が満足できる仕事をみつけ、これを続けようとした場合、これまでと変わらず巨大な試練に立ち向かうことになる」と話す。
同報告書によると、「過去20年間、世界の女性は教育の面では著しい進歩を遂げたが、そのことが女性の就業状況の改善にはつながっていない。女性の就業者の割合は20年前とほとんど変わっていない」という。
2015年のデータをみると、世界には自営型労働者と同族経営の小規模 零細企業の労働者が約5億8600万人おり、20年前に比べて17%減少した。男性のこうしたタイプの労働者は同8.1%減少した。
同報告書によると、女性の就業率は中南米地域で上昇したが、別の地域では低下した。雇用市場での男女の開きはアラブ諸国、北アフリカ地域、南アジア地域で最も顕著だという。
▽女性の労働時間は男性より長い
ILOによると、報酬の有無に関わりなく、女性は一日の労働時間が引き続き男性よりも長い。高所得国でも低所得国でも、無償の家事労働の平均時間は女性が男性の少なくとも2.5倍になる。
同報告によれば、女性は今なお家事の大部分を引き受け、子育てや高齢者の世話に男性よりも多くの時間を当てる。多くの女性がフルタイムの仕事を見つけることができず、賃金が高い長期の仕事を見つけるチャンスはほとんどない。
また低所得の産業では、女性の労働時間が男性より長いという傾向がみられる。
同報告書は女性の就業の質を懸念する。多くの女性は非正規の仕事や満足できない、不安定で、保障のない仕事につくことが多く、さらに最後には「老後の保障がない」というマイナスが加わるという。
世界的にみると、ボーナスが65%しかもらえない女性は退職しても定期的な年金がない人が約2億人おり、男性ではこうした人は1億1500万人だ。