日本メディアの報道によると、日本の与党の自民 公明両党はこのほど、2016年度の税制改革大綱草案をそれぞれ承認した。このたびの日本の税制改革の核心は法人税改革にある。企業収入のうち税金として納める比率の法人税の実質税率は、現在の32.11%から2016年度には29.97%に引き下げられ、さらに2018年度には29.74%へと引き下げられる。
◇核心的な問題は解決できず
減税法案が採択されれば、企業が最大の受益者となることは間違いない。日本の試算によれば、2018年度の29.74%への段階的な引き下げが実現されれば、2013年度の37%からの下げ幅は7%を超えることとなる。
生き残りに苦しんでいる中小企業に配慮して、日本政府は、設備投資をした場合の固定資産税に対する減税措置を検討している。法人税の実質税率の引き下げと合わせれば、新たに購入した機械などに課される固定資産税は3年で半減することとなる。
これら数々の措置は、広大な中小企業に確かに配慮したもののようにも見える。だが南開大学日本研究院の劉雲客員研究員は、「税率改革で再優先されるのは政治的トピックであり、改革の背後には、与党の地位を守り、来年の選挙に備えるという意図がある。与党は、減税という姿勢と措置によって票集めをする必要がある」と指摘する。
劉研究員によると、「諸外国と比較すれば、日本の税率は実際には決して高くない」。実際、日本経済が後退している原因のより核心にあるのは、社会全体のコストの増加であり、人口高齢化による企業の活力低下であり、さらには体制の硬直化による近年の企業の革新不足といった問題であり、減税で根本的問題を解決することはできない。
◇減税で得をするのは誰か
注意すべきなのは、減税で配慮すべき最大の問題と言える税源問題が安倍首相に軽視されていることである。
安倍首相によれば、減税は、より多くの企業に利益を広げるためであり、消費税率が10%に引き上げられる2017年4月までに多くの庶民の収入が高まっているようにするためである。このために税制改革には、環境負荷の低い自動車の税率は0%とするなどの環境保護性能に基づく新たな課税制度が盛り込まれた。
企業税を減らしておいて消費税を引き上げるという安倍政権の措置では、政策の受益者が逆転している。
劉研究員は、安倍首相の財政政策は、消費税で集めた庶民の金を減税で富裕層に移転するものだと指摘する。「貧者から奪い富者を助ける」というこのようなやり方は長期的には、社会全体の構造に負の影響を与えかねない。
商務部研究院アジア研究所の徐長文研究員も、消費税率の引き上げは庶民の金を奪うことであり、企業税率の引き下げは明らかに大企業に利益を与えるものだと指摘する。また近年の円安は、輸出型の大企業を有利にする一方で、日本の内需型企業や中小企業の経営をより苦しくしている。このように考えれば、得をするのが誰かは明らかだ。
安倍首相の経済政策は矛盾に満ちたものである。
劉研究員によると、日本の財政全体は苦境に陥っており、国内総生産に対する国家債務の比は240%に達している。このような状況では、減税のために持ち出すことのできる財政資金には限りがある。減税がどの程度なされるとしても、財政負担が増えるのに変わりはない。減税にはさらに、当初の消費税引き上げのねらいとまるで逆行しているという問題がある。
(チャイナネット)
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