2015年12月25日、日本で2015年の新語・流行語大賞がこのほど発表され、驚いたことに日本を訪れる中国人観光客の買い物熱を表す「爆買い」が大賞に選ばれた。とはいえ、「爆買い」の日本経済に与える影響やメディアでの露出度を考えれば、この結果は意外とはいえない。人民日報が伝えた。
15年に中国本土の海外旅行者数は前年比16%増加し、初めてのべ1億2000万人を突破する見込みだ。海外旅行者数と海外での購買力は3年連続で世界一になった。日本に行く人だけでも、1人当たりの買い物金額は17万円を超えている。このような消費の風景を「爆買い」と形容するのは、実にピッタリのネーミングだといえる。
「爆」の字で中国人観光客のあらゆる特徴を網羅できるわけではない。訪日観光客の多くは普通の人だ。昼ご飯を卵1個とインスタントラーメンだけで済ませる観光客もいれば、ぜいたく品には目もくれず、低価格・高品質の日用品ばかり買う人もいる。早起きして朝市をめぐり、電子辞書を駆使して値切る人もいる。こうした人々も訪日中国人観光客を構成する一部分だが、日本のメディアはあまり注目しない。
「メディアが伝えるバブルぶり」が作りだした印象は、崩壊した後に事の真相それ自体を損ないやすい。日本人の中には、中国人観光客に貼り付けたバブルのレッテルを考え直している人もいる。自民党の二階俊博総務会長は中国メディアの取材に答える中で、「『爆買い』という言葉はあまり上品でなく、中国人観光客を形容するには不適切だ。『爆買い』に代わるもっとよい言葉を探さなければならない」と述べた。東京の街を歩く普通の人々も、「(爆買いという言葉は)目についた物は何でも買うという感じがして、印象はあまりよくない」といい、日本紙の社説はずばり、「この『爆買い』という言葉ですが、どことなく中国への『上から目線』を感じます」と伝えた。
お隣の韓国でも「ヨウカー」という言葉が流行している。中国語の「遊客」(観光客の意味)と同じ発音で、中国人観光客を指しており、報道の中でよく使われ、注釈なしでニュース報道によく出てくる。爆買いとヨウカーを比較してみると、ヨウカーの方が客観的だ。中国語を直接訳したもので、わかりやすく受け入れやすい。韓国のサイトでこの言葉を検索すると、どうやって中国人観光客を呼び込むかといった情報が出てきて、中国人観光客のリピート率の低さの原因について検討するものばかりだ。
ヨウカーには「豪快な」といった枕詞がつくが、日本人に比べて、韓国人の方が中国人の行動をよく理解している。韓国の友人達が率直に述べたところによると、20年ほど前に韓国人が海外で買い物に熱中していた時にも大きな荷物や小さな荷物をせっせと運び、あれこれ頭を悩ませていた。だから今の中国人観光客の行動を意外だとは思わない。さらに言えば、中国人観光客の買い物は全部が自分のためではなく、親戚や友人への贈り物の方が多いのだ。これらをひっくるめて「爆買い」というのは、少し言い過ぎだと思われる。
ドイツの哲学者ヴィルヘルム・フォン・フンボルトは、「1つの言葉においても、言葉のつらなりにおいても、言語とは一種の精神の活動であり、一種の真の精神の創造的活動である。どの言語においても、こうした精神の活動のすべてに独自性が備わる」と述べた。同じく中国人観光客を描写しても、国によって生まれる流行語は異なる。このような文化的な思考方法の違いは、中国人観光客がじっくりと味わい、つぶさに検討するに値するものだ。
(人民網日本語版)
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