(3)帰国後の就職は困難だ。海外で必死に勉強すれば、帰国後に身につけた知識を活用し、自分の力を発揮できる高待遇の職を探すことができる。しかし日本国内の雇用制度は、留学生に高給を与え、破格の待遇をもたらすことはない。海外留学の投資を回収できないことは、留学の積極性を損ねている。在学中の留学は単位が認められ、卒業が遅れることはない。しかし日本の就職活動は独特で、留学はこれを遅らせることになる。理想的な職が見つからなければ、留年する人もいる。
(4)日本企業の留学支援が減少している。日本の大企業はこれまで、将来性の高い若い従業員の視野を広げるため海外留学に派遣し、企業のグローバル経営および研究開発の人材を蓄積していた。しかし日本経済の長期低迷に伴い、企業も財布の紐を締め、留学支援の予算を削減した。これにより派遣される従業員が大幅に減少した。
向上心がなく、経済能力が不足しており、雇用に支障をきたす。留学の投資も割に合わない。これは日本人学生が留学を避ける理由だ。日本の各大学は短期留学制度を設けているが、募集定員に達しないことがよくある。さらには海外提携校との交換留学生も集まらないことがある。
留学生の減少は、日本に大きな悪影響を及ぼす。この影響は、今後露呈することになる。留学者の減少は、グローバル人材、科学技術人材のストックが減少を続け、科学研究能力が低下することを意味する。近年、日本人学者によるノーベル物理学賞、化学賞、医学賞の受賞が相次いでいるが、今後もこの流れを維持できるかは不透明だ。
海外留学者が減少を続ける中、日本政府は2014年に、留学者数を現在の6万人から2020年に12万人にするという、野心あふれる計画を打ち出した。政府はこの計画に、20億円の予算を確保した。人数倍増の目標が高すぎるかはさておき、上述した4つの問題を解消できなければ、減少傾向を覆すのは困難だ。(筆者:朱炎 拓殖大学政経学部教授)
(チャイナネット)
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